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11:あふれるほどの後悔を

自己満足のチャレ小説11話目でございます。

今日ブログ更新しすぎなので、日付変わってからにしようかな~…
と、午前中からずっと迷っていたのですが…
もう今日も終わるというこのタイミングで、
「もうすぐ完結だし、いいか!」と、公開することに。

予定では、次回12話でチャレンジ本編完結、あとエピローグあわせて
13話で終わりかな…と思っているのですが、予定は未定。
まだ書ききっていないので、果たしてどうなることやら…。


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その傷跡に芽吹く花
11:あふれるほどの後悔を



「…君は何をそんなに怯えてるんだ」


ヴォモスブロドシスを軽く巻いてやり、火山洞窟を抜けた先のインターバルで
ついにコウの真っすぐな視線が、明確な言葉の凶器で俺の核心に触れた。

「あ?」

いつもの調子で返すが、内心、少しだけ焦る。
インターバルの時計は進み始めたばかり。
いつも少なく感じるその2時間が、ひたすら長い。

―――…この男は、ヴォモスブロドシスみたくは巻けないだろうな。

何度も何事か言いたげな視線を俺に対して向けていた。
それがついに、言葉にして俺に投げかけられる。
もうへたな気づかないフリはしないという合図だ。

腹を殴って、あれだけ脅して。
それでも俺に問いかける、その度胸には感服するが……
まさか、もうさっきのインターバルでの出来事を忘れたわけではあるまいな?

「怯えてる? 俺が? お前にか?」
「俺に怯えてる…ってわけじゃないと思うが」

あぁ、ヤッパリ……知らないくせに、俺の核心を見透かしている。

「そりゃそうだろう、お前ごときに怯える要素がどこにもない」
「だから訊いてるんだ。何を怯えてるのかって」
「…………」

思わず視線を反らす。
けれどコウの視線は真っすぐ俺をとらえたまま離れない。
……あぁ、本当にこいつ、年上だったんだな。

年齢なんか気にしたことはなかったし、ましてや俺より何もかも劣るこいつを
年上だと敬ってやる気なんか全くなかったが……。
この真っすぐな視線は、はるか昔、親や教師と向き合ったときの感覚によく似ていた。
…この男に打ち明けたくない過去が、あるせいなのかもしれないが。


「俺の中に、何を見ている……?」


――――――…。
それはほとんど答えだろうが。
コウの言葉で一気に頭へ血が上った。

「お前―――…」

これ以上は俺の精神が持たない。
こいつはどこまで気づいている?
場合によってはこの場で殺す。
自然とホルスターへ手が伸びる。

銃で一撃……苦しまずに済ませてやるのは、せめてもの慈悲って奴だ。
安心しろよ、撃たれたことすら気づかないくらい一瞬で終わらせてやる。

「…君は手負いの野生動物か? 別に君の事情を無理に探るつもりはない。
 言いたくなければもう訊かない」

しかし、そんな俺の動作には全く気付かないこの間抜けは、
そう言ってため息をつき、ようやく俺から視線を反らした。


***


俺の真意を探るような暁の瞳に、思わず視線を反らしてしまった。
その意図に、暁は気づいただろうか?

―――…単純に、君を心配している。

暁へ向けた問いに、深い意味などない。
ただ、単純に……彼の事が心配だっただけだった。
けれど、何度心の内で重ねたかしれないその言葉を、ついには口にできなかった。
全身が、小さく震える。

暁はこの訓練を共にする仲間だ。
信頼している。
理屈ではわかっていて、心の底から彼の不調を気にしているのに、
インターバルを迎えるごとにくぎを刺された彼の言葉と暴力が、頭から離れない。

ここでまたこの言葉をかけたら、最悪仲間だと思っている彼に殺されそうだ。
よくて、男の癖にバージン喪失なんて、笑えない展開か。
どちらにせよ、遠慮したい。

ちらりと盗み見た彼の身体は、小さな傷が無数につき、一部ひどいところは血が流れ、固まっている。
どんな痛みに耐えれば、そんな満身創痍の状態で、平気な顔をしていられるのだろう。
済む世界が違う彼に、俺はモノメイトを差し出すことしかできなかった。

「訊かないから……無茶だけはしないでくれ」


***


差し出されたモノメイトを蹴り飛ばした。
そんなものを突き付けられて、ようやく自分の状態に気が付いたものの、生憎痛みはまるでない。
脳内麻薬でも出ているんだろうかと思うと、少し笑える。

まぁ、貴重な物資だ。
使いつぶさなくて済むことにこしたことはない。

「…先に行く。お前はゆっくり準備してから追ってきな」

インターバルにいられる時間を12分ほど残して、先へ進む。
後ろで咎めるようなコウの表情には、気づかないふりをした。



「…………」

インターバルを抜けた先は再びの砂漠地帯を模したエリア。
ハッキリ言ってここはそんなにむつかしくはない。
あの間抜けが大人しく俺の後ろにいてさえくれれば、ご機嫌なトラップが稼働して
二人仲良く時間切れ、なんて自体にはならないだろう。

そうならないために、俺が先にあの場を出た。

通路の隅に隠れた、陰湿なセンサートラップをくぐり、エリア最深部のボタンを押す。
シュン…と、軽快な機械音が、このエリア全体のトラップ停止を告げる。
これであの間抜けが、通路ど真ん中を横断しようと問題ない。

先へ進む。

この先再び現れる森林地帯は、訓練のほとんど終盤だ。
その最深部に現れる3体のエネミーが、俺のトラウマ。
……あの日、全てを失くした場所。

だからこそ、コウが辿り着く前に、何としてでも倒してしまわなければ。
あの日亡くした女の影がちらつく男が来る前に、あるいは…あの獣どもを叩き伏せることが出来たなら。
俺は背負ってしまったこの痛みから、抜け出すことが出来るだろうか……。

ドクドクと鼓動が早まる。
ついで、身体のどこかがジワリと痛んだ。
ああ、本当にトラウマなんだなと、我ながら自分の弱さに笑いそうになる。

少しばかり面倒になった敵を叩き伏せ、長い道のりを走り、森林地帯最深部へと足を踏み入れる。

「会いたかったぞ、クソ野郎ども」

ファングバンシー、バンサ・オング、バンサ・ドンナ……一度に3匹の獣が顕現する。
俺が愛した女を殺した獣だ。

3匹がタイミングを合わせたように俺へ向けて前足を払う。
ブン…風圧が頬を掠める。
寸でのところで後方へ半歩さがると、間髪入れずの追撃。
再びステップを踏む。

「生憎ダンスしに来たわけじゃねぇ」

刀を握り、一転。
今度はこちらの番だ。
深く、大きく踏み込んで、ブクブクとデカく育った獅子の脳天に刃を突き立てる。
…いや、かすっただけか。

流石に訓練終盤のエネミーともなれば、多少の機転はきくらしい。
鼻先を掠めた刀に逆上して、獅子が大きく足を振り上げる。

「ぐぁっ…!」

ぬかった。
仕留めたと思ったその瞬間の攻勢に、思わずバランスを崩す。
獅子の一撃を一身に受けた刀が、宙を舞い、遠くへはじけ飛ぶ。

「…………」

俺のトラウマの原因。
せいぜい刀で切り刻んで弄び、圧倒的な勝利で克服してやるつもりだったが、
流石に多人数前提の訓練プログラムだ。
タイマンはるなら、そう簡単に遊ばせてはくれないか。

まぁ、それならそれでいい。
俺の過去、その全てを込めた弾丸で、こいつら全員、まとめて始末してやるだけだ。


「…今度こそ、清算できりゃいいけどな」


惚れた女を亡くしてから、何度もチャレンジには足を運んだ。
何度もこのクソッタレな獅子どもを手玉にとってやった。
だけどいまだに、過去の清算はできていない。
俺は自嘲しながら銃を構えようとして―――…



「暁ッ!!!!!」



飛んできた叫び声に、眉を吊り上げた。
もう来やがったのか、ノロマのくせに。
最高の嫌みを言ってやろうと思ったところで、身体に重い衝撃が走る。

―――…あの馬鹿の登場に気を取られすぎた!

受け身が取れず、背中に走る強烈な痛みに顔をしかめる。


「…?」


しかし、俺に強烈な一撃をくれたのは、あの忌々しい獣ではなく、遅れてきた間抜けの方だった。

「ぐっ、ぁあっ!!!!!」

いや、違う、正確には俺の死角から放たれた獣の一撃を、この間抜けが庇っていた。
獅子の鋭い爪が、コウの背中にズブリと刺さる。
そのまま俺を押し倒し、ともすればうっとりと俺に身体を預けるような美女の仕草で……
コウは、盛大に血を吐いた。

「…おい…、俺は…、…男と抱き合う趣味はないぞ…?」

声が震える。
じわりと、コウの血が、俺の服を赤く染めていった。
べったりと服が肌に張り付いて、泥沼にでもはまったような不快感。

――――――…。

鳥頭なのか、こいつは。
あれほど……二度と俺に構うなと釘を刺したにも関わらず、このザマか!!!

まさか、あの時たまたまうまくいった…だから今回も何とかなるなんて
ふざけたことを考えたんじゃあるまいな?!

明らかな致命傷を負った男の体が、俺の上で、今にも消えそうなほど浅い呼吸を繰り返す。
意識は既にないらしい。

あの出来事から何も学ばなかったのか、クソ野郎!!!!!!!!!


ドクドクドクドク……

鼓動が早まる。
全身が凍るように冷たい。


いつか、あの日をやり直せるだと…?
笑える…何がやり直しだ。
これじゃ、下手な再現ドラマだろうが……!

この男は後で絶対殺してやる。
俺のトラウマをここまで引き出した奴は初めてだ。

でも、今はそんな話をしている場合じゃない。
過去のトラウマを再現されて、おかしくなりそうな頭を必死に動かす。
俺の上に転がる男をひきはがし、急いで体制を立て直して銃を―――…
握ろうとしたところで、ようやく自分自身の違和感に気がついた。



腕が、ない……?



いちいち確認するまでもなく、そこに当然あるべき腕が、片方だけ…
いつの間にか綺麗さっぱり無くなっている。
どういうことだ、ヴァーチャルのバグか?と、悠長なことを一瞬思って―――…

先ほど跳ね飛ばされた刀が目に映った。

その刀には、いつの間にか、豪華な「おまけ」がついている。
刀の柄をしっかり握るその「おまけ」に、眩暈がした。

暁の腕付き刀、本日発売。
世界に一つだけの珍しい一品です。


―――…笑えないジョークだ!


何が殺して殺るだ、くそ…。
ようやく庇われた理由が分かった。
なるほど、流石のスターアトマイザーでも、千切れた腕は治せない。

迫る獅子の群れに、心臓が跳ねる。

余裕は、なかった。
ゴロリと転がる、コウの短杖……この不利な状況で、片手でできる事はソレしかない。
…柄じゃないんだけどな。

空気が変わり、獅子が一気に手負いの俺を仕留めようと並んだ瞬間。


「黙って寝てろ、クソ猫ども!!!!!!!!」


紫電が走る。
右側にあったはずの利き腕はもうない。
俺は左手で短杖を握りしめると、フォトンを一気に収束させて放った。
光の柱が獣の頭を一気に貫く。

テクニックは特別得意ってわけじゃなかったが……。
それでも脳天をぶち抜けば、無事じゃすまないだろう。

ドスン……鈍い音。

やがて、一列に並んだ獅子は、左右に分かれて身体を地面に沈ませる。
土煙が舞った。
静まり返たその中で、俺の腕があった場所から滴る血の音だけが耳に残る。


「……また、周囲が見えてなかったのか」


全身が震えた。
情緒不安定…確かにそうだろう。
コウの言葉が、あまりにアイツと重なるから……
俺のせいで殺してしまったあの女に、責められているような気になって。

…そのせいで、自分を見失っていた。
また、まただ…またそんなつまらないことで、庇わせた。
同行人がろくに戦えもしないとわかっていたのに、庇わせた。

後悔が溢れ出る。
ゴールを前に、進み続ける制限時間のリミットを気にする余裕もなく、
ただ間抜けにも、その場で立ち尽くすことしかできない。

俺の足元で、真っ赤な血の池を作って横たわる男からは、既に呼吸音が消えていた。
その様子を、かける言葉も見つからず、ただ茫然と眺め続ける。
俺が……殺してしまった。

繰り返す過ちに眩暈がして……瞬間、その背中が、ほんのわずかに動いた気がした。


―――…生きてる?


今にもその命の火は消えてなくなりそうではあったが、まだ今のところ生きている。
多量の出血のせいか、顔色は死人のように蒼白だったが、それでもまだ……生きている。

突っ伏したままのその身体を抱き起し、慌ててその口へ無理やりモノメイトを押し込んだ。
ヴァーチャルってのは素晴らしいな、現実ならこんな状態でモノメイトなど、
とても喉を通らないだろう。
それこそ、メディックのレスタがなけりゃ助からないような重傷だ。

それでも。
この死にぞこないがモノメイトを嚥下できなかろうと、
口を付けた時点でシステムはモノメイトの使用を認識するだろう。
傷が、ゆっくりとふさがっていく。


「……かつてない、最低の訓練だ」


それは手痛い勝利の合図だった。
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名前 :コウ
人種 :ヒューマン/男性
メイン:Te/Su
Ship :10(現在8に旅行中)

チーム10:Rosen Kreuz(マネ)
チーム8:Re:Monster(コモン)

ガンナーに憧れつつ、
主にテクターやってます。
サブFoからSuに転向しました。
メインとサブクラスLV.80!
他クラスLV.75!

マトイちゃんとリリーパをこよなく愛す、
ファッションショーとSS撮影が
メインと化しているエンジョイ勢。

最低限迷惑にならない程度のプレイを
心がけつつ、楽しんでます。

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