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09:不可侵領域

自己満足のチャレ小説9話目でございます。

本日アップデートで色々ありましたが、
体調を崩してしまって、まともにゲームで遊べないため、小説だけ更新です。(笑)

ゲームのチャレンジクエストも、バグで「えらいこっちゃ」になってるようですが…
またそれはのちほど。

今回でM7踏破までの予定だったのですが、M6までになってしまいました。
予定は未定とはよく言ったものです。
12話完結の予定が、13~14話完結になってしまいそう。

今回は続けて、後ほど10話も更新しますよ!
…自分で書いといてなんですが、意図せず┌(┌^o^)┐のにおいを感じ取って頭を抱えてます。


↓↓ 折りたたみ記事で、小説へ



その傷跡に芽吹く花
09:不可侵領域



『ねぇ暁……私ね―――…』



安全なインターバルに入り、ガクガクと震える足をこっそり殴りつける。
それなりに力を込めたつもりだったが、痛みは全く感じなかった。

「くそ…」

気分転換になりもしない。
本当に恐ろしい生き物は人間だって最初に言い出した奴はどんな奴だったか……。
言いえて妙だ。

「・・・・・・・・・・」

コウの眉が一瞬ピクリと動いて、すぐに視線を反らした。
…わかりやすい奴。
お前ごときが、俺を気遣ってるつもりか?
こういうところもアイツとそっくりで、胸糞が悪い。
折角強敵を倒した高揚感が一気に消し飛んだ。

「おい、黙るな。言いたいことがあるなら何か言えよ」
「…いや、何もない」

いつもならこっちがいくら止めても自分勝手にわめく癖に。
視線で何事か言いたいらしいことはハッキリわかるのに、決定的な言葉を口にしないその態度に
苛立ちが増した。
いっそ、追及してくれたら……馬鹿にして、煙に巻いてやるのに。

「足が震えて走れなかったこと、笑ってんのか?」

あぁ、墓穴だ。
コウの態度に耐えきれず、つい自嘲を返してしまう。
何て失態だ…普段ならこんなこと、絶対にあるはずがない。

それなりに時間をおいてはみたが……再び出会ったコウの顔が、
似ても似つかないアイツと被って、責められている気になった。

「笑うわけないだろう」
「じゃぁ憐れんでるのか」
「何も言ってないだろうが。どうして君は―――…」
「その目をやめろってんだ!!!」

切っ掛けは森林エリアでの事。
それをいまだに引きずっている。

「…俺がもし、今ここでレスタを使えても」
「あ?」
「きっと君には、効かないんだろうな」

悲しそうに目を伏せた男に、今度こそ明確な憐れみの色を感じて頭に血が上る。
その言葉は、俺のトラウマを察していなければ出てこない。
メディックのレスタは、目に見える傷なら死んでない限りどんなものでもたちどころに治してしまう。
その立場に誇りを持っているらしいこの男が「治せない」と宣言した。
…それは俺が、目に見える傷ではなく、見えない傷を負っていると察したからだろう。
レスタに限らず、どんなテクニックでさえ、精神の痛みだけは取り除く事ができない。


『君は……すぐ、調子に乗るから―――…』


懐かしい…慈愛に満ちた、俺を気遣う優しい声が頭の中に響き渡る。
……そういや、あの女もメディックだったか。
全く、メディカル勤めはろくな人間がいやしない。

簡単に俺の心へ土足で踏み込んで……そして勝手に、去っていくんだ。

口が悪くて、態度も悪い。
俺がどれだけクソッタレか、そばにいたならわかるだろうが。
いい加減学習しろよ。
頼むからもう、かまってくれるな。



「喧嘩売ってんのか、お前は」

思わずコウの腕を掴んで押し倒す。
ろくに受け身も取れず背中から倒れ込んだコウは、痛みに一瞬眉をひそめて、
次の瞬間、俺の攻勢にひどく驚いた顔をつくり……

「…今にも泣きそうな君に?」

けれどジッと俺を見つめたその瞳が。
俺の心の内をすべて見透かすその声で。
冷静に、言い切った。

冗談だろう?と返された言葉に遠慮なく手が出る。

「ぐぁっ!!!」

手加減抜きに腹の中心を殴ったら、一瞬目を回したようにぐるりと視線が動いて、
思いっきり胃液を吐き出された。

「きったねぇな……」

腕を掴み上げ、マウントをとり、無抵抗の人間を殴る趣味はなかったが……
口で言ってわからないこいつには、一度立場ってものをわからせてやらないといけないらしい。
俺の一存でどうとでもなる人形になり果てたコウの目から、痛みで涙がジワリと滲んだ。

この程度の痛みで涙が出るのか、さぞ幸せな環境で育ったんだろうな。
痛み慣れしてない証拠だ。
数々の的外れな発言も納得というものだろう。

「二度と俺の事に立ち入るな。
 お前なんぞに心配されるのは勿論、憐れまれるのも最高に不愉快だ」
「カハッ……ゲホゲホ……、…笑ったり怒ったり…情緒不安定だな」
「口は災いの元って知ってるか?」

いい歳して痛みに涙をにじませた男が、その不格好な体裁も気にせず減らず口を返してくる。
唯一このつかえない男を評価していた部分は頭の良さではあったのだが……。
それも訂正した方がいいかもしれない。

「ここまでされてわかんねぇなら、いっそ俺のモノ咥えてみるか?
 どっちの立場が上なのか、お前にしっかり理解させるには手っ取り早い方法だ」

割と本気で口にする。
別に男を相手にする趣味はないが……簡単に服従させるには、これ以上ない手段な気もした。

「突っ込まれりゃ、俺に従うしかない事くらい嫌でもわかるだろ。
 それともお前にとっちゃご褒美か?」
「―――――――…」

俺の本気が伝わったのだろう。
ようやく立場を理解したのか、コウは小さく青ざめて視線を反らした。

「…わかりゃ、いい」

首筋の動脈をゆっくりなぞる。
お前の命を握ってるのはこの俺だ。
間違っても対等な立場だなどと誤解しないように。
俺を救える等と分不相応な勘違いをしないように。
この訓練が終わったら、二度と俺に関わりたいと思わないように。

ブルリとコウの震えが伝わったところで解放してやる。
……本当に一発ヤってもよかったかもしれない。
どうせヴァーチャルだ、何かなくすわけでもないだろう。
こうして怯えられると、女でなくても少しはそそる。
思いっきり吐き出したら、少しは気分が晴れただろうか……。
そう思って、あまりに自暴自棄な考えに失笑する。

「ポーカーフェイスも保てねぇのか、俺は」


***


暁の不器用な優しさに気づいたあの瞬間から、どこかで彼を親身に感じていたところがあった。
苦しい訓練を共に受け、吊り橋効果にも似た感情を覚えているのかもしれない。
それは例えるなら、長年の友であったかのような錯覚。
だから、話せばわかると思っていたし、何か苦しんでいるなら、頼ってくれると思っていた。
一瞬意識が飛んでしまうほど、強烈な拳を食らうまでは。

「・・・・・・・・・・」

とんだ思い上がりだったな、と……何度目になるかしれない後悔。
彼の瞳の奥にチラつく深い闇から解放してやれるなど…
どうしてそんな事を考えてしまったのだろう。
その傷は深く、何者であろうと触れることさえ許していない風なのに、出会ったばかりの俺が、どうして。

君はその傷を、誰にも打ち明けずに一生抱えて生きていく気か?

出かかった言葉は飲み込まれる。
それを寂しいと……哀れだと。
救いたいと思ってしまうのは、傲慢な俺の、正義感の押し付けだ。

インターバルのタイマーが残り5分をきる。
この先のミッションについて、暁は何も語らず、俺もまた、問いただす術をなくしていた。




インターバルを抜け、再び訪れたのは森林エリアだった。
順番から言えば惑星リリーパの砂漠を模したエリアがくるかと思ったのだが、
過ごしやすい気候のミッションであることに越したことはない。

もくもくと、無言で走り続ける。
頭の中では、先ほどのインターバルでの出来事が何度もぐるぐる回っていた。
集中しなければと思うたび、意識がぶれる。

自分自身を傷つけ、他人を遠ざけてまで……暁はいったい何に怯えているのだろうか。

震えた足は、敵と対峙したためのものではない。
もっと根の深い、彼のトラウマ―――…

思考の波に意識が飲まれる。
静かな池に差し掛かったところで、水に足をとられたこともあるのだろう。
無意識に歩調が緩まった。


―――…酷く、後悔する。


暁の言った通り、俺には他人を気遣う余裕などなかったはずだ。
なのにどうして…気まずくなったからと言って、この先の事を問いたださなかったのか。


「本当に手間しかかからないな、お前は」


その瞬間、ドンと、背中が強く押される。
ドシャリと倒れた身体が池に沈んで、盛大な水しぶきが上がった。
ぐっしょりと服がぬれ、身体が重い。
急いで体制を立て直すと、先ほどまで俺のいた場所に、暁の背中があった。
…その背中が、黒い闇に消えていく。

「……!」

その闇には見覚えがあった。
ファンジと呼ばれるトラップ。
ダーカー因子に浸食されたエネミーが時折用いるトラップで、
仲間からたった一人を引き離し、遠くの地へ隔離して嬲り殺すための罠。

普段であったなら、手慣れた武器ですぐさまその闇の檻を破壊し、脱出することもできるだろう。
だが…この負荷のかかった状態で、一人捕らわれることがどういう意味か、
想像するだけでゾッとした。

「暁っ!!!!!」

あれだけ俺に強く言ったくせに……どうして今、俺を庇った?!
空気に漂う今にも消えてしまいそうな暁のフォトンの残滓が完全になくなるその前に、
俺は慌てて地面を蹴る。

追わなければ。
理由はわからないが、情緒不安定な彼を、このまま一人にしていいはずがない。
チクリと首筋が痛む。


―― 二度と俺の事に立ち入るな。
―― お前なんぞに心配されるのは勿論、憐れまれるのも最高に不愉快だ。


「・・・・・・・・・・」

暁の言葉を思い出し、一瞬だけ躊躇して……結局全速力で足を進める。

「性分だ、諦めてくれ…!」

どれだけ脅されようと、もう生き方は変えられなかった。





道中の敵を薙ぎ払い、ようやく見つけた大きなフォトンの反応を追うと、
そこはこのエリアの出口前らしかった。
その出口の目の前に、ファンジ特有の赤黒いダーカー因子でできた巨大な檻。

「これは―――…」

上部は卵の殻を砕いたように割れていて、中には巨大な蜘蛛のような生き物の死骸が転がっている。
そこに暁の姿はない。

出口の前にはタバコの吸い殻。
俺が追いつくより早く、この化け物を倒し切り、先へ進んだという事か…?
驚異的な手際の良さに、感心よりも恐怖を覚える。

いくら彼が歴戦の猛者といえど、これは明らかなオーバーワーク。
無茶をしているのでは無いだろうか。
そしておそらくその原因を作ったのは俺なのだろう。
ならば一体どこで、俺は彼の地雷を踏みぬいた?

次のエリアへ続く道へ、俺は真っすぐ向き合った。
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名前 :コウ
人種 :ヒューマン/男性
メイン:Te/Su
Ship :10(現在8に旅行中)

チーム10:Rosen Kreuz(マネ)
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ガンナーに憧れつつ、
主にテクターやってます。
サブFoからSuに転向しました。
メインとサブクラスLV.80!
他クラスLV.75!

マトイちゃんとリリーパをこよなく愛す、
ファッションショーとSS撮影が
メインと化しているエンジョイ勢。

最低限迷惑にならない程度のプレイを
心がけつつ、楽しんでます。

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