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08:隻眼の竜

自己満足のチャレ小説8話目でございます。

「続きはよ」というお言葉をいただきまして…
単純なもんで、続きを制作してました。(笑)

自己満足のものではあるけれど、楽しんでもらえるとわかると、
やっぱりうれしいものですね!

…実はここまでが当初予定していた7話でした。
これだけでも普段以上に長いのに、これは分けるしかない。

ただいま公式はメンテ中のようですし、よければお暇つぶしにでも。
なおこの小説、12~13話完結の予定です。
もう後半戦ですよ!


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その傷跡に芽吹く花
08:隻眼の竜



熱気の籠る薄暗い火山地帯をひたすら走り抜ける。
インターバルエリアを出て中央道を直進。
湧き出る敵を薙ぎ払いながら並走すること50分ほど。
荒くなり始めた呼吸を気にし始めたところで、ちょうど突き当りに差し掛かり、道が左右に分かれていた。
インターバルで暁が言っていた通りだ。

「お前、メディカル勤めだったなら、テクニックはそれなりに光の適正があったんだろ」

最初のエリアで俺がレスタをかけようとした事も関係するのだろう。
暁が質問の形をとった断定の言葉をかける。



―――…正規の医者ではなく、アークスとしてメディカル勤めになる以上、
細かな知識の代わりに要求されるものは、質の高い支援テクニックだ。

あらゆる傷を癒すレスタ。
あらゆる不調を消し去るアンティ。
集中力を高めるシフタ。
抵抗力を上げるデバンド。

これら4つの体調管理を司るテクニックは、メディカル勤めのアークスなら誰もが習得していて、
それも他の戦闘特化アークスとは比にならない強力な支援力を持っている。
このうち、レスタとアンティは光のフォトンを収束させて行うテクニックだ。
ということは、自然…メディカル勤務のアークスに、光適正の高い者が多いというのも
納得のロジックだろう。



「第1適正は炎だったが、第2適正は光だった」
「ならお前は左だ」
「左?」
「光や炎が大好物のゴキブリどもがわんさか沸く。綺麗に掃除できたら褒めてやるよ」

そう言って暁は右側へと向き直る。

「分かれ道の最深部まで行け。たどり着いたら、次へ進む道が現れる。そこで合流だ」
「それは構わないが―――…」

言葉を濁すと、暁の不機嫌な視線が返ってきた。
これ以上説明を求めるな。
そういう色の滲んだ瞳に、言葉が出ない。

「…いや、健闘を祈る」

別段、説明を求めたかったわけではない。
単純に彼を心配していただけだ。
…だが、それを自分の力量で言葉にするのは思いの外難しく、結局俺は話を切るしかない。

「楽な道を教えてやったんだ、抜かるなよ」

しっしと、犬でも追い払うように手を振って、暁の背中が遠くなる。
重い息が漏れた。


***


じっとりと手に感じる汗の量に思わず舌打ちする。

「最高に最低な気分だ」

何か言いたげなコウの表情を思い出すと、心の底から疲労感が込み上げてきた。
ただまぁ、この状況で開始するミッションが、今のコレだったのは幸いだろう。
しばらくあの男の顔を見なくていいのは幸いだった。

…あの野郎は、一体どこまで知っている?

おそらくは俺の事情など、本当に何も知らないのだろう。
警戒するだけ無駄だ。
あの馬鹿正直な男が、裏表を持って他人と付き合う器用な生き方ができるタイプの人間だとは思えない。
だが同時に、本能的な部分で、俺が触れられたくない一番の核心に気がついている。
嫌な奴だ、そういう奴ほど手に負えない。

どうせ無能なら、そういう事にも気が付かないでいてくれればよかったものを……。

てんで使えないくせに、こういうところばかり目ざとい。
やはり、頭の方はそう悪くないらしかった。
もっともそれは、歓迎すべきことではないのだけど。


森林エリアで俺を庇ってコウが飛び出したあの瞬間。
古い記憶が蘇って吐き気がした。
まさかこの俺が、フラッシュバックなんてものに悩まされる日がこようとは。
本当に厄介な相手を紹介してくれたもんだ。

足早に先へと進み、まるで八つ当たりでもするかのように現れる敵へ必殺の一撃をくれてやる。
何度地面と熱い抱擁を交わさせてやったか知れないが、それでも俺の苛立ち、不快感は
一向に収まろうとしない。

「よりにもよって、なんでファング・バンシーだったんだ……」

神様なんか信じちゃいないが、もしいるとすれば、そうとう意地が悪いに違いない。



フォトンが揺らぐ。
遠くでコウの放つテクニックの気配を感じた。

…左の道を通るなら、あのクソ間抜けでも心配は無いだろう。
あいつの甘ったれた力量じゃ、敵の数に手間取りはするだろうが、おそらく致命傷をもらったりはしない。
となれば、俺さえ下手を打たなきゃ、このエリアの踏破はさほど難しくはないはずだ。
……いや、まぁあの間抜けの掃討が、予想外に遅けりゃ危ない話ではあるが。

キキキ…

耳障りな音に視線を向けると、自然の塊といった火山洞窟には不釣り合いな
機械仕掛けの人工生物が俺との距離を測っている。
本来なら惑星リリーパに存在するような機械の塊が、右の道を選んだ俺の相手だった。

「この程度なら目をつぶっていても戦える」

…あのクソ野郎には無理だろうがな。と、内心思って、また気分が悪くなった。
どうして俺はこうもあいつを意識しているのだろうか。
何もかもが俺より劣るあの男を……どうやっても頭の隅から排除できない。

「本当に殺してしまえばよかった」

あの男―――…コウは危険だ。
戦闘能力とかそういうものじゃない。
無断で俺の一番触れられたくない場所に踏み込んでくるその生き方が、
いつか俺を殺すのではないかという予感がする。

まだ遅くない…次にあの顔を見かけたら、さっさと殺してしまおうか―――…
そう思ったところで、脳裏に古い影がチラついた。

「クソが!」

難なく食らわせた一撃から、火花を散らせて爆発四散する機械仕掛けの敵を見つめて唾を吐きつける。
脳裏にチラつくその影が、俺からあの男を殺す手段を奪っていた。

「・・・・・・・・・・」

全く気分が晴れぬまま、気が付いたら右の通路の最深部までたどり着いていたらしい。
湿気で湿った壁にふれると、うっすら苔の感触がした。

「やっぱりだ、ノロマ」

左の通路を進んだコウは、まだ最深部へ到達していないのだろう。
気配がしない。
俺は大きく息を吐いて、設置されているテレポーターを起動する。
コウも左の通路の最深部へ到達すれば、テレポーターの存在に気が付くだろう。
移動した先は一本道。
迷うはずもないし、あの愚鈍野郎が到着するまで待ってやる理由もない。

「先に進むぞ」

誰に言うでもなく口にすると、遠くてコウの纏うフォトンが小さく揺れた気がした。


***


グオオオオオオオオ……

どこかで耳障りな咆哮が聞こえる。
第六感…本能的なもので、全身に恐怖と危機が電流のように走り抜けた。
この声の主はヤバいと、本能が告げる。


「はぁ、はぁ、はぁ……」

分かれ道から再び走り始めて1時間。
暁の言った通り、湧き出るようにあふれる敵は、数こそいれど…さほど苦労するような事はなかった。
この全身に負荷のかかるような状況にもいい加減なれたらしく、
第2適正の光のテクニックが使えるようになったのも大きいだろう。
フォトンを収束させ、強烈な光線を放つラ・グランツ。
たいていの敵はこれで一層してしまえた。

「ここが、左通路の最深部……」

そこにはポツリと、この洞窟に不釣り合いな転送装置が設置されている。
アークスとして他の惑星に降り立つときに用意される簡易装置。
起動させると、青白い光が辺りに反射し、移動先を示していた。

この先が、おそらく合流地点なのだろう。
まだ見ぬ転送先へ、一瞬だけためらって……けれど他にどうすることもできず、
俺はそのまま装置へと足を踏み入れる。

・・・・・・・・・・。

一瞬の浮遊感。
視界がゆっくりと開ける。
先ほどでも十分すぎるほどの広い空間だったが、転送先はさらに大きく開けた、巨大な地下空洞のようだった。

ふと、「まるで何者かが、この空間を利用するために開けたような大空洞だな」と何の根拠もなく思う。
その恐ろしい考えにハッとして、俺は無理やり意識を振り払った。
何者かって、何だ。
一瞬出しかかった答えに蓋をする。

この場にいる生物に好意的なものがいるはずない。
こんなに巨大な空間を必要とする『何者』かなんて考えたくはないし、
その『何者』かと戦わなければならなくなる状況などもっと考えたくはなかった。

酷い思考停止だなと、内心苦笑しながら足を進める。
後方にはテレポーター以外に道はなく、ここが本当に合流地点で間違いないなら、暁もこの場へきているはずだ。
進むしかない。


「暁! いるんだろ?!」


反響する声。
人の気配は既にない。

まさか判断を間違えただろうか…?

引き返すべきかと思案しはじめたところで、ようやく人の痕跡を見つけた。
地面に落ちるタバコの吸い殻。

全く君は、本当にどうしようもないな。

まだ新しいソレは、俺への目印のつもりだったのかもしれないが―――…
それでも道端へ平気でポイ捨てるのは感心しない。
仕方のない奴だと、吸い殻を回収しようとして…ゾワリと背筋に悪寒が走る。

「……何だ…これ?」

暁の吸い殻のすぐ隣に、吸い殻よりも新しい大きな窪みがあった。


―――…最初、それはこのごつごつしたエリアの特徴なのだと思っていた。
大自然を絵にかいたような火山洞窟で、まさか真っすぐ敷かれたアスファルトの道があるなど想定してはいない。
だからそれは、単に隆起している道の、たまたま窪んだ部分なのだと思っていた。
……いや、そう思いたかっただけなのかもしれない。

規則的に刻まれたその窪みは……何かの足跡のようだった。

特にこれといった分かれ道はない。
ならこの巨大な足跡の主は、この先にいるであろう暁の後を追っているのだろうか?
最悪の想像にぶわっと冷や汗があふれ出す。

本能で感じた「ヤバい」という声の主が、この足跡の主だとしたら……?
その声の主が、この大空洞を必要としている『何者か』であったなら……?
想像とは恐ろしいもので、一度脳裏を駆け巡った不安は不安を呼び、俺は思わず足を速めた。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

得体のしれない恐怖が呼吸の邪魔をして、全速力で走る俺から体力を奪っていく。

「くそ…っ!」

周囲を見渡す。
本当に一本道だ…見晴らしがよく、何もない空間に絶望すら覚える。
…本来なら、迷わずに済むと手放しで喜べた空間なのだろうが、この状況になってみるとそうもいかない。
もし、あの巨大な足跡の主が好戦的な相手だったとしたら…?

最初のインターバルに入る前の火山洞窟で出会った、バーン・ドラールを思い出す。
ああいう類の原生生物に敵対心を持たれてしまったらどうなるだろう?
あの時はまだ逃げるための道があったからよかった。
だが、この見晴らしのいい大空洞で、逃げ切れるとは到底思えない。

「身を隠す場所すら見当たらないぞ……」

あの窪みは単なる偶然で、たまたま地面が隆起していただけ。
あるいはあの足跡の主は温厚で、特に敵対心など感じていないかもしれない。
一瞬そんな都合のいい事を考えても見たが、冷静な自分がすぐさまそれを否定する。

あれは足跡で、その主は俺たちを殺そうと狙っているに違いない。
忘れたのか?
ここは死人を多数輩出した幸せな訓練なのだと。
ここまでの道のり、何度も命の危険を感じておいて、今更楽観できる要素が一体どこにあるというのだ。



「暁っ!!!」

全速力で走ること30分…ようやく見知った背中を見つけて、俺は思わず駆け寄った。

「…おいおい、ゴールは目前だぞ? 今更きて、重役出勤か? 社長。
 まさかここまで時間がかかるとは想定外だ」

驚くほどいつも通りの皮肉が返ってくる。
その言葉には緊張感の欠片もない。
……まさか気づいていないのか?
あの慎重な暁が?

やはり暁の様子は何かがおかしい。

俺はパニックでおかしくなりそうな頭を必死に動かして、暁の腕をとった。
周囲に視線を巡らせ、状況を確認する。
とにかく、この見通しのいい道のど真ん中で突っ立って、のんびりお喋りしていられる暇はない。
最大限に警戒して、位置関係を確認する。
いざという時、身を隠せる場所が3か所は欲しい。


―――…あれから真っすぐ走ってきたというのに、ついに足跡の主と遭遇することはなかった。
暁のタバコよりも後についていた足跡だ…通路は一本。
どこかで必ず遭遇してもいいはずなのだが……。

「歓喜の抱擁痛み入るね、プリンセス。そんなに俺が恋しかったか?
 できることなら美女になってからきてくれ。男と抱き合う趣味はない」
「この…馬鹿! 君ならとっくに気づいてるはずだろう!!!」
「は…? 何の話―――…」

とたん、ゴゴゴゴゴ…と全身を揺らす地震。
暁の言葉が終わるよりも前に世界が揺れる。

嗚呼、そうだ。そうだった。

惑星アムドゥスキア…その火山洞窟を統べるのは、地竜バーン・ドラール。
この巨体は、地に潜り、姿を隠すこともできたのだ。
どうして忘れていたのだろう……この存在が、一度脳裏をよぎったくせに。

カッ…!!!

視線が合う。
全身が冷え固まるような恐怖を叩きこまれたその瞬間、俺と暁のすぐ頭上を、
バーン・ドラールの強烈なブレスが通り抜けた。

ドロリと、背後の岩壁が熱で溶け、その熱気が背中を焼くように熱く伝わる。

「――――――…」

あまりの出来事に、指一本動かせない。
バーン・ドラールは俺達への目測を見誤った事がおかしいのか、
一瞬だけ首をかしげるような動作を見せた。



―――…隻眼の竜。

彼の竜の目を曇らせたのは、視界に偏りがあるせいか。
片目が痛々しく潰れたその竜は、俺達を今にも殺そうという強烈な敵意を放っている。

「おっと…こいつにゃ、見覚えがあるな……」

暁が舌打ちして、手早く銃に弾を込めた。
その姿でハッとする。
ではこの竜は、以前火山洞窟で出会ったあの時の竜だというのだろうか?
確かにあの時、足をすくませた俺を庇うべく、暁はバーン・ドラールの片目を銃でつぶしていたが……。
ギロリと睨む竜の視線は、明らかに暁をとらえている。
…ビンゴか。

「そんなに俺が忘れられなかったか、トカゲ野郎。
 モテる男はつらいねぇ…また熱ぅい弾丸で、忘れられなくさせてやるよ」
「馬鹿…!」

アムドゥスキアの竜は頭がいい。
暁の言葉をおそらく理解していることだろう。
その証拠に、鼓膜が破れそうなほどの咆哮が返ってくる。

「こいつはもう倒すしかない」

低い声で暁がぼそりと言った。

「君が煽ったからな」
「幸せな脳みそだな、おい。煽らなくてもあのトカゲ、最初から俺達を逃がす気なんざなかったぞ」

ガチャリと音を立て、フォトンをまとった銃弾がたっぷりつまったマガジンを確認。
暁が小さく毒づく。

「手間がかかるだけで、楽にクリアできるミッションだと思ったんだがな……」

そうして俺の腕を振り払い、銃を片手に竜の前へ飛び出すと身を反転。
逆走するように走り出す。
ギロリとバーン・ドラールの視線が暁をとらえた。

「来いよトカゲ野郎。ダンスに付き合ってやる。
 その膨れ上がった巨体で俺のステップについてこられるなら、だがな」

君は他人を煽ることにかけては天才的だな。
この状況だというのに、思わず呆れる。
だが、現実は彼の軽い言葉ほど余裕はない。
完全に虚勢だ。

地獄へのカウントダウン。
暁が走り出したのは、俺達の合流地点へ向かう道。
そこはテレポーターこそあるものの、完全な行き止まりになっている。
つまり、そこへたどり着く前に……俺たちはこの竜と決着をつけなければならない。

倒せるはずがない…以前火山洞窟で遭遇した時、確かにそう感じていたのに、
よもやその敵を倒さなければならなくなるとは。

本当にできるのか?そんなことが。

一瞬よぎった疑問を打ち消す。
出来なければ死ぬだけだ。

逃げ切る選択肢は当にない。
もしこの場で竜を無視してゴールへ向かえば、見通しのいい一本道だ。
後ろから岩壁をも溶かす熱いブレスで、俺達はあっさりバターのように溶けてしまう。

勿論それは、今この状態にも孕んでいる最悪の可能性ではあるのだが……
そこは竜の頭の良さに救われているのだろう。
暁の存在と、その言葉ですっかり逆上した竜は、自らの手で暁を痛めつけなければ
気が済まないらしい。

…けれどもし、俺達が逃げることを選択すれば、逃がすくらいならと
背後からブレスを撃ってくることだろう。
こうなればもう、暁の賭けに乗るしかなかった。

「くそ…!」

暁を追って背後を見せた竜の背へめがけて短杖を振るう。
セオリー通りなら、竜の弱点の一つは尻尾だ。

ガツンッ!!!

圧縮されたフォトンが爆発し、竜の尻尾を容赦なく巻き込む。
それだけの攻撃をしても、竜の敵意はいまだ暁へ向いたまま変わらない。
……片目をつぶした相手だ、当然といえば当然なのだろうが、相当な恨みを買っている。
一度でも捕まれば、ヤバい。

「ほら、どうしたトカゲ! 俺が恋しいんだろうが」

そう言って暁が銃を向ける。
向けた銃口から発射される弾丸はバーン・ドラールの瞳のすぐ横を掠めていった。
必要以上の煽りに、竜の怒りは際限なく増していく。


―――…もしもあの時、俺が足を竦ませなければ、暁は勝てもしない竜の目を潰す必要などなかったはずだ。
ひいては、今こうして、命を懸けた鬼ごっこをする必要もなかっただろう。
これは明らかな俺の失態。
そのツケを、彼に払わせてしまっている。

行き止まりに到達するより早く。
彼が引き付けてくれているうちに早く。
俺が何とかこの竜を仕留めなければ……!

ガツン、ガツン、ガツン……!!!

腕がもげそうな程短杖を振るう。
その重みで手がしびれ、血が噴き出す。
血のぬめりで杖を落としてしまわないように。
痛みで力が抜けないように。
必死で杖を振り下ろすこと何度目だろう。
焦りでびっしょりと汗をかいたその顔面が、絶望の色に染まり始めた頃、ガハッという鈍い叫びとともに、
竜が足を折って地面に倒れ込んだ。

尻尾の蓄積ダメージがきいた―――…

「上出来だ、コウ!」

すぐさま銃から刀へ持ち替えて、暁が刀身を振るう。
顔面を貫くように生えた角が、彼の竜の大きな弱点だった。
その角をへし折るように何度も何度も刀を振るう。
刀が引き抜くことすら困難なほど、大きく角をえぐった。

やがてその痛みに耐えかねたのか、竜は尻尾を庇いながらのそりと起き上がる。
もう小細工は通用しない。
カッとバーン・ドラールの喉元が熱く膨れ上がる。
ブレスの予兆に思わず叫んだ。


「避けろ暁!!!!!」


避けるって、一体何処へ…?

ここは一本道。
巨大な竜のブレスは、一体何処なら避けられると言うんだ。
自分で叫んでおいて、その無謀な要求に絶望する。
しかし、その声を聴きながら、暁はニヤリと笑みを返した。



「いや、チェックメイトだ」



熱気が込み上げ、全身が火傷しそうに熱い。
バーン・ドラールの口がゆっくりと開く。
その刹那…大きく踏み切って跳躍した暁は、いつの間にかその手に二丁の銃を握って―――…


ギャアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!


耳障りな悲鳴。
一度つぶされたはずの目に、もう一度…あの時と同じ弾丸が炸裂する。

吐き出し損ねたブレスが、竜の口の中で四散した。
その勢いを殺すように身をひるがえし、暁が地面に着地したところで、
あの巨大な竜は砂で作った城のように、脆く消えていった。

・・・・・・・・・・。


角を大きくえぐっていた刀が、カキンと独特の金属音を上げて転がる。
その音を最後に、しん…と、辺りが静まり返った。

間一髪……思わず放心して腰を抜かしかけたところで、今度は暁に強く腕を引かれた。
…痛い。
相変わらず、握力だけで腕が折られてしまいそうなほどの力だ。

「ボケっとすんな。まだミッションは終わってないぞ」

刻一刻と減り続ける制限時間に舌打ちして、インターバルへと続くらしい道を歩く。
時間がないと言いながら、走ろうとしない彼の事情に、俺は気づかないフリをした。
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名前 :コウ
人種 :ヒューマン/男性
メイン:Te/Su
Ship :10(現在8に旅行中)

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チーム8:Re:Monster(コモン)

ガンナーに憧れつつ、
主にテクターやってます。
サブFoからSuに転向しました。
メインとサブクラスLV.80!
他クラスLV.75!

マトイちゃんとリリーパをこよなく愛す、
ファッションショーとSS撮影が
メインと化しているエンジョイ勢。

最低限迷惑にならない程度のプレイを
心がけつつ、楽しんでます。

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