FC2ブログ

07:トラウマ

自己満足のチャレ小説7話目でございます。
書きためてないと言ったな…あれは嘘だ。

…当初予定していた7話目が、想定より長くなってしまったので、
半分にわけて、IA2までの内容にまとめました。
区切ったので、今回は少し短めに。
本当はM5クリアまでが7話の予定だったのにおかしいなぁ…。

というわけで、IAまでは書ききっていたので、それを先出です。
今度こそ、書きためていた分はなくなりました。


ゲームの性質上、毎回強力な敵が出てきて、ギリギリのところで何とかクリアする…
というのが流れですが、物語でそれをやってしまうと、ワンパターンで飽きてしまいます。
そろそろ、その流れから微妙に心理面へ視点を移す感じになってきたので、
「ワンパかよ…」と思われないようにシナリオを構成していければいいな…
と、思う主でした。
お手柔らかによろしくお願いします。(笑)


↓↓ 折りたたみ記事で、小説へ



その傷跡に芽吹く花
07:トラウマ



「また火山エリアか…」

満身創痍で森林エリアを抜けた先は、再び薄暗く湿った熱気のこもる火山エリアだった。
仮想だとわかっていても、この環境には気が滅入る。
辺りが暗いと嫌でも気落ちするし、湿った空気は単純に不快だ。

ただ一つ以前と違っていたのは、そこは森林エリアからの連続戦闘というわけではなく、
アムドゥスキアのだたっ広い仮想空間を前に用意された、再びのインターバルだった事だろう。
休息に用意された時間は2時間…この辺りは以前のインターバルと変わらないらしい。
こんなボロボロの状態で、毒霧の中を再び走ることにならなかったのは素直にありがたかった。

…もしかしたら、2つエリアを踏破するごとにインターバルが設けられているのだろうか?
だとすれば、多少体力計算もできて、少しばかり今後の目途が立てやすい。
チャレンジは全部で10のエリアがあるという。
今は4番目をクリアしたところ…偶数エリアの後にインターバルがあるなら、
少なくともあと2回は休息がとれそうだ。

「おい、のんびりくつろいでる時間は無いぞ、馬鹿野郎」

インターバルエリアの時計が動き出し、強制退場させられるまでのカウントダウンが始まったのを確認して、
暁は最高に不愉快な表情で俺に向き直った。

「お前、自殺志願者じゃないだろうな?」
「そう見えるのか?」
「はぐらかすな。質問してるのは俺だ」

あぁ、やはり小言は言われるか。
先ほど吐き捨てられた「覚悟しておけ」という彼の言葉を思い出してげんなりする。
何せ、暁の言いたいことは痛いほどによくわかっていた。
俺が彼の立場でも、怒っていたに違いない。
でも、身体が動いてしまったものは仕方ないだろう。
できることなら誰かに止めてほしかった、というのが精いっぱいの情けない言い訳だ。

「俺を庇うってのはどういう了見だ? 勿論ご立派な理由があっての事なんだろうな」
「ソウデスネ」

思わず視線が彷徨って……そのせいで、俺の行動理由がばれたらしい。
とどのつまり、特に考えてはいなかった。
身体が勝手に動いてしまったんだから仕方ないじゃないか。
―――…そんな、シンプルな理由が。

「ふざけるなよ、あの状況でどう立ち回るのが正しかったかもわからない脳無しか? お前は」
「それは……」

痛いところを突かれる。
別に正義の味方を気取りたかったわけではなかったし、自分の実力も把握していた。
だからあの時、暁を庇うという選択が、まったくの愚策であることはよくわかっている。

今回はたまたま…本当に運がよかっただけ。
本来、助けられるわけがなかった状況だ。
実戦経験の多い暁とて、重傷を負えど、一撃でやられたりはしない。
その証拠に、彼は重傷を負ってなお、獅子の追撃を綺麗に避けて見せていた。

なら俺がやるべきことは、どうにかして敵の注意を引き付け時間を稼ぐか、暁の傷を癒す手段を考えること。
たとえば…道中入手した、スターアトマイザーを投げてやるとか。
それこそ何であの場ですぐに思いつかなかったのか不思議なほど、確実で、安全な策だった。

…自分一人の力でできることは知れている。
せいぜいが、主戦力である暁の体制を立て直すための手段を考えること。
自分自身が戦力になるなど、一体いつ錯覚したというのだ。

『自惚れるな』

暁が冷ややかに言った言葉が脳裏を木霊する。
自惚れていたんだろうか、俺は。

「テメェの自殺に俺を巻き込むなよ、クソッタレ。
 次同じことをやってみろ……俺が直々にお前の自殺を手伝ってやる」

ガバッと俺の胸倉をつかみ上げ、視線だけで人を殺せそうなほどの冷たさで言い切った。
俺を掴みあげるその手は、ブルブルと震えている。
……震えるほど、怒らせた。

「――――――…」

言葉を失う。
確かに自分の行いは愚策で、暁が怒っているのもわかっていた。
そしてその事の重大さをわかっていなかったわけではなかったが……
正直なところ、ここまで怒らせるとは思ってもいなかったというのが本音だ。

ヤバいな、何か地雷を踏んだのかもしれない。

元々が俺の失態だ。
それゆえ、失態の中からさらなる失態を見つけることは困難を極める。
結局、一体どこに暁の地雷があったのかはわからないが―――…
本当に不味い行為だった事だけはよくわかった。
主戦力である彼の機嫌を損ね、精神を乱して得をすることなど、何一つないのだから。

俺の顔色で言いたいことが伝わったと理解したのだろう。
暁はゆっくりと俺から手を放すと、そのままドサリと床に座り込んで休息の体制に入った。


「―――…傷、大丈夫か?」

恐る恐る尋ねる。

「現実だったらヤバいだろうが、ヴァーチャルなら問題ない。
 痛覚は相変わらず頭がイカれそうだが、まぁ動けなくなるレベルじゃないだろう」
「頭がおかしくなりそうなほど痛いのに?」
「このご機嫌な訓練で、そんな事をいちいち気にしてたらキリがないって事だ」

そういって、暁はタバコに火をつける。
以前のインターバルで、味がしないと愚痴をこぼしていたソレを、
無理やり肺に詰め込んで気を紛らわせないとやっていけない程には痛むらしい。
……そうか、タバコは彼にとって嗜好品というより鎮痛剤か何かなのか。

「いい加減理解しろよ、チェリーボーイ」
「誰がチェリーだ」

反射的に言葉を返す。
これだけ憎まれ口が叩けるなら、気持ちの方はもう持ち直しただろう。
切り替えが早い……それもこの訓練で生き残るための術なのだろうか。
頭の片隅にいまだ残っている暁の強い眼光を思い出し、そして一気に首を振って、
先ほどのその光景を頭からふりはらった。

「暁、服を脱げ」
「変態野郎、男の裸に興味があるのか。女に相手にされなくて、ついに男か? 嘆かわしいな」
「馬鹿、傷を見せろって意味だ。それとも無理やり脱がされたいか?」

気持ちの持ちようはともかく、この先どんどん激化する訓練で、痛みを抱えながら動くことを
どこの誰が歓迎するだろう。
顔色も真っ青なくせに、折角のインターバルで虚勢を張っている場合か。
俺が強く返すと、暁の眉がピクリと跳ねた。

「…お前程度の腕で俺をどうにかできるつもりかよ」

じれったい暁の服に手をかけたところで、勢いよく腕を引かれる。

「?!」

思わぬ反撃にバランスを崩し、顔面から地面にべしゃりと倒れ込んだ。
そのまま暁は俺の腕を後ろ手にひねりあげると、あっさり組み敷いてしまう。
つい先ほどまで腰を下ろし、そこに座っていたはずなのに―――…
この一瞬で一気に体制をかえ、マウントをとるあたり、彼は戦闘慣れは勿論、奇襲慣れもしているらしい。
……まぁ、正面からの行為を奇襲と言うなら、だが。

「ぐっ…!」

とにかく、その一瞬の動きにわけもわからず、ただ込み上げてくる腕の痛みだけを認識して、
俺は鈍い声で呻いた。
…これ以上少しでも力を入れられたら、関節が外れそうだ。

「寝技なら俺の方が得意だぞ?」

ドスリと、顔面のすぐ横にナイフが突き立てられる。
ギラリと光るそのナイフに、無様な自分の姿が反射した。

「ふざけてる、場合か……!」

ふざけてる、というにはあまりに悪ふざけが過ぎているが。

「自分の…、…顔色っ…わかってるのか…?」
「生憎、麗しい乙女じゃないもんで。鏡は持ち合わせてねぇな。ただまぁ…今のお前よりはマシだろうよ」

言われて思わず、突き立てられたナイフを見る。
……なるほど、今の俺の顔色、真っ青だ。
主にこの状況―――…暁のせいではあるのだけど。

「君はヤクザか」
「そっちのがマシだろうな。奴ら外道は外道なりの侵しちゃならないルールがある」
「君には無いと?」
「残念ながら、な」

ギリリと、捻りあげられた腕が痛む。

「奴ら、ルールを守ってるうちは仲間殺しはしないだろ。
 だが俺は歓迎してるぞ?
 邪魔だと思ったら即、この訓練からも……現実世界からも強制退場だ」

退場させられたいのか?と、暗にそう言って……暁の手が、俺の首筋の動脈をなぞる。
ゾワリと死の恐怖を突きつけられて、喉の奥からヒュッと間抜けな音が抜けた。

「俺の事は俺が決める。正義感振りかざして他人の状況に首突っ込むな。
 お前は他人を心配できるほど余裕のある立場じゃないだろうが」
「……そういう素人判断が一番危ない」
「はぁ? お医者様気どりか」
「…メディカル勤務だ、この場なら医者と変わらない」
「―――…チッ、そうだった、マジの医者か。そういや仲介したあの野郎も言ってたな」

この状況でも譲らない俺に呆れたのか、暁は嫌そうに顔をしかめて腕をほどくと、
地面から突き刺さったナイフを抜き取った。

「医者ならトリアージくらい知ってんだろ。まず物事の優先順位ってもんを考えろ」

トリアージ…災害などの緊急時における、処置の優先度を測る行為。
場合によっては、命の取捨選択ともなるその行為を持ち出されて、表情が曇る。
つまり暁が言いたいのは、「自分の体調…ひいては命は、優先事項ではない」という事だ。

「優先すべきは、君の体調だと思うんだが……」
「頭沸いてんのか? 優先すべきは、この先の話だろうが」

そういってモノメイトを煽る。
それで俺が満足すると思ったのだろう。
体勢を立て直し、体中の土を払ったところで、
これ以上の追及は許さないといった表情の暁が、空になったボトルを俺に投げつけた。

「・・・・・・・・・・」

幾分痛みが引いたのか……暁の表情から異常な青白さが抜けている。
…こうなると、本当にこれ以上の追及は難しい。

「この先、ね……」

確かにそれも優先事項だ。
……だがそれを君が言うのか。
今の今まで、自分からこの先の話など、警告以外にしてこなかった癖に。
もはや期待などしてもいなかった、今、このタイミングで……その話を持ち出す。

こうして話題を変えたいほど、傷にはよほど触れられたくなかったらしい。

そこに、何かしらあるらしい彼の地雷……トラウマを連想させて、
俺は次の言葉を飲み込んだ。



精神は安定しているように見えるが……もしかしたら本当は―――…。



そんな疑惑が脳裏を一瞬掠める。
出会ったばかりの彼を、俺はあまりに知らなさすぎた。
ただ、好奇心や一方的な善意の押し付けで行う詮索を、彼が嫌うであろう事は目に見えていて。
結局追及は諦める。

「このエリアはとにかく広い。
 だが、まぁ最初みたいに毒霧の中をピクニックってわけじゃない。気は楽だ」
「…そうか」
「まずは中央を突っ切り、突き当りの分かれ道で一度お別れだ。
 分かれ道の先に敵がいるが…まぁこいつらは知れてる。
 左右の敵を倒したら、ゴールへの道が開く仕掛けだ」

いやに饒舌。
今までこんなに丁寧に行く先を説明してくれたことなどなかったというのに。
その違和感に、暁自身は気づいているのだろうか?

「このエリアは時間勝負だ。広い分、突き抜けた先はまたインターバル。
 出し惜しみせず、全力でかかれ」
「……わかった」

了解の返事は告げたものの……これで本当によかったのだろうか?
この先にあるという分かれ道で、彼を一人にしていいのだろうか?

……また、自惚れているな。

結局のところ、仮に本当に精神が不安定だったとしても、暁は難なくこの訓練をクリアするだろう。
自分がそばにいたところで一体何ができるというのだ。
物語のヒーローでもあるまいに……。
もし本当に、今の自分が彼に何かしてあげられると思っているなら、とんだ思い上がりだろう。
それでも心配してしまうのは―――…

「性分、なんだろうな」

このチャレンジ・プログラムを開始すると決めた動機と同じ。
崇高な理念も、大した目標もありはしない。
単純に、自分を構成する要素……こうありたいと思う願い。性分。

理屈で語れない、子供のような正義感を振りかざす自分に気が付いて、苦笑が漏れる。
俺のそんな微妙な表情に気が付いたのか、隣で休息をとる暁が小さく首を傾げた。
スポンサーサイト



コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

カテゴリ
過去のお勧め記事
プロフィール


名前 :コウ
人種 :ヒューマン/男性
メイン:Te/Su
Ship :10(現在8に旅行中)

チーム10:Rosen Kreuz(マネ)
チーム8:Re:Monster(コモン)

ガンナーに憧れつつ、
主にテクターやってます。
サブFoからSuに転向しました。
メインとサブクラスLV.80!
他クラスLV.75!

マトイちゃんとリリーパをこよなく愛す、
ファッションショーとSS撮影が
メインと化しているエンジョイ勢。

最低限迷惑にならない程度のプレイを
心がけつつ、楽しんでます。

+・+・+・+・+・+・+・+・+・


『PSO2サポーターズリンク』登録中!


[c]SEGA

いつも投票ありがとうございます!
よかったら1日1回投票よろしくね!

カレンダー
10 | 2019/11 | 12
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
最新記事
リンクについて
当ブログはリンクフリーです。
事前事後の報告は不要です。

相互リンク希望の方は
お気軽にコメントにてご連絡ください。

タイトル⇒ 初心者あんしん!PSO2
URL ⇒ http://kourk.blog.fc2.com/
管理者 ⇒ コウ

※ バナーは持ち帰りでお願いします


リンク
検索フォーム
最新コメント
月別アーカイブ
RSSリンクの表示
QRコード
QR
アクセスカウンター

現在の閲覧:

2016/09/19設置。
今更感ある…。