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05:試されるもの

自己満足のチャレ小説5話目。
実はこれで書き溜めていた分は終わりです。
基本的に完結までは考えた上で書いているのですが、続きはまた少し時間がかかりそう。

今回はM4の途中まで。
ミッションごとに1話のつもりが、M3は軽く流すし、M4も途中までと不完全になってしまいましたが、
まぁいいか…と。
今後もこんな感じで、ミッションにつき1話ではないかもしれませんが…
20話いくまえには完結したいなぁ。
…計算では15話以内に収まるはずなのですが、はたして…。

ヒロイン不在小説のせいで、どことなく┌(┌^o^)┐臭がするのも気になるのですが、
あくまで友情としてみて貰えれば嬉しいなと思ってます。
まことに残念ですが、今後もヒロインは出てきません。


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その傷跡に芽吹く花
05:試されるもの



「暁、君に訊きたい事がある」

惑星リリーパをモデルとした第3の砂漠エリアを踏破したのは、つい今しがた。
まだ見ぬ第4のエリアへと抜ける通路を歩く途中で、俺は疑問に思った事を口にしていた。

「答えてもらえると思ってるのか?」
「答えてくれるんじゃないか? 案外君は優しいから」
「チッ…」

嫌味でも何でもなく、素直な言葉を述べただけなのだが、暁は嫌味だと受け取ったらしい。
大きく舌打ちして、目を細める。



―――…インターバルエリアを出発し、進む事になった第3のエリアは、
幾重にもトラップが仕掛けられた難攻不落のエリアだった。
確かにこれは暁が事前に言っていたとおり、無知な自分が先行しては危険だっただろう。

…単純にダメージを蓄積させる類の、地雷のようなものであったなら、
まだどうとでもなったのかもしれないが……仕掛けられたトラップのほとんど全てが、
訓練者の足止めを目的としていたものだったのが問題だ。

「チャレンジ」は決められた時間内に最深部まで踏破できなければ、訓練者に絶大なペナルティが科せられる。
…その重さは、本来アークスの本部がどういう想定をしていたのかは知れないものの、
現実問題として、簡単に訓練者を死に至らしめるような内容なのだと、事前に説明を受けていた。

ここで無駄な時間を消費すれば、最悪そのペナルティを科せられ、踏破失敗という結末も十分有り得たに違いない。
罠の位置と、その解除方法を知っていた暁が先行してくれたおかげで、最悪の可能性を回避できたのは有り難かった。

しかし同時に、ここまで行ってきた「チャレンジ」という訓練プログラムに関して、1つの疑問が沸き起こる。



「最初の森林エリアではロック・ベアと戦った。
 俺はそれで、てっきり原生生物と戦うのが訓練内容だと思ったんだが、
 火山エリアの敵は倒せるような相手ではなかっただろう?」
「そうだな。もっともそれとは別に、お前は足手まといでしかなかったが」
「…その話は引っ張らないでくれ、問いたい事の本質とは違う」

この訓練プログラムには、特徴があるのではないだろうか?
それを知っているだけでも、事を有利に運べるのでは…?
そう確信したのは、砂漠エリアの特徴を見たからだろう。

「さっきのエリアはトラップこそ厄介だったものの、特別危険な敵もいなかった。
 …チャレンジには、エリア毎に何か目的…あるいは規則があるんじゃないか?
 単純に戦闘能力を測るだけの訓練だとは思えない」
「ああ…お前本当に頭の方はそう悪くない。
 戦力にならない分、救いようの無い馬鹿じゃないのは助かるな」

一言余計だ。
しかし、疑問には答えてくれるつもりなのだろう。
火山エリアのように、体調の悪さが課せられていない事や、エリアを移動する最中である事から
今が安全を保障された時間である事も大きいのかもしれないが…素直にありがたい。

「最初は純粋な戦闘能力。次は強敵に相対した時の判断能力。そしてさっきは現場の対応能力。
 お前はその全てにおいて不合格だが、基本チャレンジってのはこの3パターンを繰り返して
 訓練者の実力を測るシステムになっている」

なるほど、納得がいく。
実際前線に出れば、単純な戦闘能力だけでは生き残れないだろう。
進むか退くか、戦うか逃げるか、状況により判断を迫られる場合もあれば、
突発的なトラブルを現地で対処しなければならないこともある。
腕っ節の強さだけではなく、勘を働かせ、頭も使えという事か。

人にはそれぞれ、得手不得手がある以上、これだけ難易度の高い総合訓練ともなれば
脱落者を多く出すというのも頷ける。
…もっともそのペナルティが死という結末であるのは、納得しかねる問題なのだが。

「繰り返し…となれば、次は最初に戻って、純粋な戦闘能力が試されるというわけか」

一度チャレンジにおいて実施される訓練難易度の高さを実感した事も大きいのだろう。
次に訪れる訓練内容がわかっているのは大きなアドバンテージだ。
ある程度の事ならば、覚悟を決めて挑む事ができる。

「油断はしないでくれよ、そうでなくてもお前は最初の時点で不合格なんだ」
「進んだ先が最初よりも易しいとは思ってないよ」
「…だといいがな」

彼の言葉が俺に対する気遣いだとはわかっていても、相変わらず言葉のチョイスは悪い。
こればかりは、今更直るものでは無いのかもしれないと、思わず苦笑をこぼした。

「言葉選びは、相変わらずだな」

疑問に答えてくれた礼もかねて、ツールバッグから水を取り出し、暁に投げる。
俺が面倒をかけているせいもあるのだろうが…
彼は自分の身体の火照りや、喉の渇きに気付いていないようだった。

「砂漠エリアは暑かったろう。水分補給は忘れないようにした方がいい」
「…物資は限られてる。火山エリアの時といい、お前少しは物資の節約ってもんを学んだらどうだ」
「それよりも君が熱中症で倒れる方が困る」

物資が有限なことはわかっていたが、おそらくは他人の体調を気遣う職を負ったものの性分だろう。
火山エリアで無理やり我を通した事もあって、俺がこの件についてかたくなに譲らない事を承知したらしく、
暁は小言を言いながらも、水の入ったボトルの封をきると、それを煽った。

「お前が火山で余計な世話をやいたおかげで、不調を引きずる事無く体調はすこぶるいい方だ。
 これなら倒れて無様な姿を晒す方が難しい」
「少しでも効果があったならよかったが…」

言葉を切る。
一見して何の変哲も無い言葉のキャッチボールだが、暁の言葉は、捉えようによっては疑問が残った。
彼の言い分は、「火山エリアの不調を引きずっていないのだから、倒れるはずが無い」と言うもの。
では火山エリアの不調を引きずっていれば、倒れた可能性もあったという事か…?

暁は随分と自身の戦闘能力に対して自信を持っているようではあるが、
体調管理についてはいまいち甘い。
少しだけ気味が悪かった。

前線で戦う者にとって、自分の体調管理など本来あって当然、必須の感覚であったはず。
これだけ戦闘能力が高く、チャレンジを幾度となく踏破してきた彼の実力は言うまでも無い。
おそらくアークスという組織においても、前線へ赴くような実力者とみて間違いはないだろう。
そんな彼が、はたして本当に自分の体調管理を怠るなどという事があるのだろうか?

本当に補給が足りない極限状態であるならいざ知らず…今のように余裕がある時でさえ、
進んで自分を追い込むような、鬼気迫る彼の言動に、不安が募る。


もしもあの時、俺が彼に無理やりモノメイトでぬらした布を渡していなければ、どうなっていたのだろう?


彼は死に急ぐような直情タイプの人間ではなさそうだし、稀に居る死にたがり屋でもなさそうだ。
なのに、なぜ……。


「まぁその理由は答えてくれないだろうな」

己を追い込む理由。
それは間違いなく、個人の内面に深く立ち入るような話だ。
彼と対等になれもしない自分が聞かせてもらえるとは思えない。
思わず、そんな心の内を言葉にすると、暁は言葉の繋がりがわからなかったのだろう。
小さく首をかしげた。

「悪い、何でもないよ」

ひとまず、彼の体調に関しては、こまめに気をつけた方がよさそうだと気を引き締める。
彼に倒れられては、案内を頼んでいる俺自身が困るというのも勿論あるが…。
おせっかいを承知で、単純に心配だった。


「何想像してるかは知らないが、お前も水は飲んどけよ」

半分ほど水の残されたボトルを投げ返される。
…そういえば、偉そうに説教をたれたくせに、自分の体調の事はすっかり忘れていたかもしれない。

「医者の不養生」

普段はこんなミスなどありえないのだが…思わず「うっかりしていた」という表情をつくったせいだろう。
暁の呆れたような視線が突き刺さった。
…やはり俺自身、まだこの訓練に慣れていないのかもしれない。
冷静さを欠いている事に気が付いて、返す言葉が見つからなかった。



ザワザワと風にゆれる木々を横目に見ながら走り続ける。
通路を抜けた先に現れた第4のエリアは、再び森林エリアを模した空間だった。
…第1のエリアと比べれば、少し起伏があるだろうか?
流れる汗を拭いながら、親切にも提示されているマップを確認すると、
このエリアを抜けるゴールまでは、まだかなりの距離があるらしい。
体力配分は、考えるだけで疲れてしまいそうだ。
無理やり頭の中を切り替える。

「環境だけで言うなら、森林エリアを模した空間が一番過ごしやすいな」

チャレンジという劣悪環境にしばらく身を置いていたせいもあってか、
初めてこの訓練を開始した時よりも、少しだけ身体が軽い。
慣れとは恐ろしいものだなと思いながらも、会話をするだけの余裕が出来たのはありがたかった。

それはすなわち、周囲に気を配る余裕が出来たという事だ。
このエリアで訓練者に求められるものが、単純な戦闘能力なのだとわかっている以上、
それこそ訓練開始直後のような焦りから来る判断ミスさえしなければいい。

日ごろよりフォトンを操り、自然現象にかえて放つテクニックを武器にする自分にとってみれば、
敵との位置関係…その一瞬の判断が何より重要なのだが、この分だと問題は無いだろう。
心に余裕が出来たという事は、その分視野も広がったという事だ。
同じ失敗は繰り返さない。

「お前に余裕が出来たのは喜ばしいが、今まで一度たりとも役に立ってない事は忘れるなよ」
「手厳しいな」
「そりゃそうだろう、ここから先はお前が本物の役立たずだと詰むからな」

俺の前に立ち、通路を塞ぐように腕を伸ばして、静止の合図を送る。
それに従い歩調を緩めると、暁は普段より少し声のトーンを落として続けた。

「このエリアにはトラップも仕掛けられている。その解除はお前にはまだ無理だ。俺がやる。
 だがそうなると、戦闘訓練でお前を守ってやる余裕は無い」

やはり気遣ってくれているらしい。
無意識だろうが、向けられる優しさに内心笑みがこぼれる。
けれどここで「やはり君は優しい人だ」と言葉にすれば、おそらく彼の機嫌を損ねるのだろう。
俺は彼の気遣いに心の中で礼を言って、静かに言葉を聞き続けた。

「エリア1以降まともに戦ってない上に、バーン・ドラールからキツイ洗礼を受けたんだ、
 怖気づいて動けないってのは勘弁して欲しいが、インターバルで気持ちの切り替えは間に合ったのか?」

たった2時間で恐怖を克服できるほど、俺は実戦慣れなどしていない。
それでも足の震えはしっかり止まっていた。

「どうだろうな」

笑って曖昧な返事を返してみるものの、実際のところ、怖気づいて動けないという失態を犯す事はないだろう。
同じ失敗を繰り返してたまるかという思いは勿論あるが、それ以上に、暁の不器用な優しさが、俺の心を軽くしている。
…彼の真意に気付けてよかった。
恐怖が消えたわけではないが、彼の想いは、それだけで俺を強く奮い立たせた。

―――彼の気持ちに応えたい。

自分のためにも、彼のためにも。
この過酷な訓練を完遂するために。
彼が心を休め、信頼できる相手でいられるように。
その優しさをかけられるに値する人間であれるように。

「…上出来だ、少なくとも震え上がって動けない事はなさそうだ」

暁が通路を塞いでいた手を下げて、俺の脚へ触れる。
ズボン越しに伝わったのは、震えではなく覚悟の温度。
鼓動は相変わらず体力的なものとは別に早いままだが、脚が震えていない事だけ確認すると、
暁はそれ以上を確認する事はなかった。

「君がとても頼りになるからな」
「他人を頼るな」
「甘えたいわけじゃない。頼もしく思っているだけだ」
「物は言いようだな」

俺の言葉を呆れ半分に聞きながら、暁は俺の半歩前へ出ると、手早く銃を取り出して動作確認を済ませる。
…トラップの破壊に使うためらしい。
つまりここから先が、トラップの仕掛けられたエリアだという事か。
自分の身を守る事は当然として、彼がトラップを破壊している間、
敵が出現すれば、その全てを俺が引き受けなければならないだろう。
緊張が走る。

「折角震えがとれたってのに、足が硬いな。無様な立ち回り方したくなけりゃ、力抜きな」
「…君は背中に目でついているのか」
「そういう細かい洞察力が女を落とすテクニックなんだよ」
「俺は男だが」
「見たらわかる。お前が女だったら、今頃もっとすごいテクニックを披露してるだろうよ。
 ついでにいうなら、命の危険が伴う訓練よりも、スリル味わうホテルの方が嬉しいね。
 まぁお前にはわからないだろうが」
「一言余計だ。その口の悪さで女性にモテるというなら不思議で仕方ない」
「女はお前より見る目があるって事だろう」

いやに饒舌なのは、これも彼なりの気遣いだろうか?
不器用な優しさがくすぐったい。
おかげで少し、緊張が緩んだ。

実際のところ、彼の言葉を借りるなら、こういうところを女性はしっかり見ているのだろう。
悔しいが、口の悪さを帳消しにしてしまうほど、今の彼は男の俺から見てもかっこいい。
モテるというのも頷ける気がした。

「まぁお前も俺ほどとまではいかなくても、少しくらい惚れるような働きはしてほしいね」
「…善処する」

俺の返事で緊張が解けたことを察したのだろう。
暁はそのまま一歩足を踏み出すと、いつかのように声を張り上げた。


「走れッ!!!」
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名前 :コウ
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Ship :10(現在8に旅行中)

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ガンナーに憧れつつ、
主にテクターやってます。
サブFoからSuに転向しました。
メインとサブクラスLV.80!
他クラスLV.75!

マトイちゃんとリリーパをこよなく愛す、
ファッションショーとSS撮影が
メインと化しているエンジョイ勢。

最低限迷惑にならない程度のプレイを
心がけつつ、楽しんでます。

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