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02:焦りが招くもの

そうそう、小説は基本的に自分のキャラの視点で書いていくと思います。
主がキャラを通してPSO2を見ているからしかたないネ。
でも主人公なら活躍できるのかといわれると、そんなにあまくなかったりする。

今回はチャレンジクエストM1踏破まで。
わかる人にはわかる内容だったら嬉しいな。

…とりあえず今回は、1度に2話公開ということで、この辺で。
またそのうち、続きを投稿できたらいいなと思います。


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その傷跡に芽吹く花
02:焦りが招くもの



―――チャレンジを開始します。
頭に直接響くようなオペレーターの声とともに、視界が開ける。
現れたのは晴天の空に心地よい日差し。
想定していた世界とのあまりのギャップに、思わずため息が漏れた。
時々吹く風は緑の匂いを運び、なんとも清々しい気持ちにさせてくれる。

「これがチャレンジ…?」
「ああそうだ。お前がどんなものを想像していたかは知らんがな」

精鋭が数え切れないほど亡くなったという訓練プログラム。
その仮想現実は、さぞかし厳しい物なのだろうと覚悟していたのだが、眼前に広がるのは
惑星ナベリウスの安全で心地のいい、森林エリアのようだった。

「正直拍子抜けしたかもしれない」
「幸せそうで実に羨ましい回答だ」

息をするように皮肉を口にする暁を無視して、深呼吸を一つ。
ここがヴァーチャルリアリティで作られた仮想現実だと知りながらも、吸い込む空気はとても美味い。
これが全て虚構なら、本当に大した物だ。
全身で感じるこの世界は、現実となんら遜色が無いように思える。

「まぁ、このエリアは気楽にいけるだろうよ、お前程度の腕でもな」
「君はいちいち人を馬鹿にしないと生きていけないらしいな」
「図星突かれた程度で怒るなよ」

図星も何もないだろう。
初めて見る訓練システムで、自分の力量がどの程度この訓練に通用するのかなどわかりはしない。

「そういう君は、チャレンジを危険だと言いながら随分余裕があるように見える」
「それは俺が何度もこの訓練を踏破しているからだろう。でなきゃ誰かの案内役なんか買って出ない」
「そうか…言葉選びはアレだが、そこは頼りにさせてもらってもよさそうだ」

何気ない俺のその言葉に、暁が一瞬だけ眉をひそめた。

「慣れてる奴でも死ぬ時は死ぬ。俺はそんな奴らを何人も見た。
 この訓練は一度はじめたら踏破するまでやめられない。最初から誰かを頼るつもりで挑まない事だな」

意外にももっともらしい事を返されて驚く。
口は悪いが、やはり腕利きの友人が紹介するだけの男だ。
この訓練がまともでない事を、しっかりと認識しているらしい。

「……肝に銘じる」

この穏やかな世界を前に、半ば浮かれていた自分に気が付いて、言葉を返す。

「人が本当に死ぬってのも、まぁ理解はしてもらえたかな、プリンセス」
「…だからその言い方はやめろ」
「それは申し訳ない、何せお前がピクニックに出かけるような浮かれ方をしていたもんだから、つい口が滑ってしまった」

見直したとたんに返ってくる言葉を前にして、ため息が漏れた。
本当にこのままやっていけるのだろうか…。
一抹の不安を感じ取ったと同時に、オペレーターの機械的な説明が終了する。
「健闘を祈ります」という言葉で締めくくられた瞬間、急に全身が鉛のように重くなった。

「?!」
「さぁて、訓練開始だ。どっかのお友達みたいにヘマをしてくれるなよ」

驚く俺をよそに、暁が深く息を吐く。
そしてそんな言葉を口にすると同時に、踏み固められた道を全力で蹴った。

「あ、おい!」

開始直後からトップスピードで走り出す彼を見失わないよう、慌ててその背を追う。
息が苦しい…ただ走っているだけだというのに、全身がその行為を邪魔するように重かった。
重力や酸素濃度が変わったわけでも、特殊な器具を装着しているわけでもない。
だというのに、息があがる。

「おっと、初めてでここまで付いてこれるなら上出来だ。もっとも、いきなり疲労困憊みたいだが」

必死で彼の背を追うと、暁はにやりと意地の悪い笑みを浮かべた。
はじめからこうなる事がわかっていたという態度に、またしても小さな苛立ちが募る。

「っ…、…いきなり走り出すのは、聞いていないぞ」
「おいおい、この訓練は制限時間があるんだぞ?
 間に合わなけりゃ訓練失敗、即死亡だ。まさかホントにピクニックのつもりじゃないだろうな?」

悠長にのんびり歩いてまわるだけで訓練になるはずが無い。
それはわかっていたが……まさか開幕全力ダッシュは想定外だった。
それにこの全身を覆うような重さも。

「どうなってるんだ…身体が―――…」
「残念だがお喋りはそこまでだ」

開始地点から体感2キロほど走ったところで、急に暁が足を止める。
それにならって、慌てて立ち止まった瞬間、目の前から急に大型の生物が現れた。
何事かと目を見張る。
頭部が硬い岩に覆われたような、巨大な生き物。
通称ロック・ベアと呼ばれる、ナベリウスに生息する原生生物だ。

思わず息を呑む。
惑星ナベリウスへ調査に赴いた際に何度か遭遇した事もあるため、本来であれば、今更驚くような生物ではない。
さして珍しいわけでもないこの原生生物は、既にアークス本部の調査によって、撃退法まで細かくデータが共有されている。
…にも関わらず、全身がビリビリと震えた。
この生き物は、果たしてこれほどまでに生命の危機を感じるほど脅威を感じるものであっただろうか?

「最初はこいつの討伐訓練。今更森のクマさんとお遊戯するくらい楽勝だろう?」
「バカいうな、こんな重い身体でどうやって―――…」
「出来なきゃ、いきなりゲームオーバーだぞプリンセス」

そう言って、ロックベアとにらみ合う事数秒。
僅かに風向きが変わったのを合図にして、暁が一気に間合いをつめる。
瞬間、弱点とされる頭部へ、いつの間にか手に入れたらしい剣を一気に叩き込んだ。

「―――…だから、人を馬鹿にするのはやめろと言ってるだろう」

その気迫に推され、全身のフォトンを集中させる。
アークスという組織に組したとき、一番最初に適正が保障され、習得した炎を生み出すテクニック。

…しかし、息をするように繰り出せていたその技術は、驚くべきことに、一瞬でも気を抜けば霧散してしまいそうだった。
これも全身が重い事と関係しているのだろうか?
フォトンを上手く操りきれず、心の底で小さな焦りが生まれる。

普段からは考えられないほど恐ろしく時間をかけて、ようやく一撃を放つ。
それはやはり、見慣れた炎の形とは程遠いほど小さく、弱々しかった。

「くそ、なんでこんな……」

もう一度意識を集中させる。
一瞬で構築できたはずの炎は、やはり何度やってもまともな形になりはしない。
徐々に増して行く焦りから、冷や汗でじとりと背中がぬれた。

「流石だクマさん。そろそろ俺としては床でお寝んねしてほしいところなんだけどな」

そんな最中、暁が荒い息を吐きながら皮肉を口にする。
余裕を含んだ言葉。
しかしその言葉とは対照的に、彼の額には汗がふきだしている。

全身の重さがチャレンジ特有のものだとしたら、それは何も自分だけに適応されるわけではない。
暁とて、例外なくそのハンデを背負っているのだろう。
全力疾走の直後だ…スタミナが切れかけているのかもしれない。

瞬間、ロックベアの強烈な一撃が、暁の顔をわずかに掠めた。
その一撃が肌を裂き、頬に小さな亀裂が入る。
間一髪で直撃を避けた暁は、そのまま半歩下がって間合いをとった。

「あーあ…もらっちまった。どうも今日は調子が悪い。これじゃ先行き不安だな」
「おい、大丈夫なのか?!」

慌てて暁の側に駆け寄る。
受けた傷が大した事のないものだというのはわかっていたが、あれほど至近距離でもらった傷だ。
彼がどれほど歴戦の猛者であろうと、心に恐怖が宿る事は避けられない。
一刻も早く、傷を消してしまわなければ―――…。

攻撃をもらったその瞬間を無かった事には出来ないが、傷が消えれば、自己暗示もかけられる。
ここに傷は存在しない、攻撃を喰らったりはしなかった―――…そうやって自分を言い聞かせ、
再び戦場へ赴く人間を、支援を得意としていた手前、何人も見てきている。
急いで精神を集中させた。

二番目に適正が保障された、光を纏うテクニック。
得意であった、他人を癒すレスタの技術。
……しかし、いくら集中しても、フォトンは慣れ親しんだ技を構築してはくれなかった。

「何で…?!」
「残念だが、ここじゃレスタはルール違反だ。せいぜい気をつける事だな」

僅かに滴った血をぬぐって、息を吐く。
そうして暁は、再び足を前へと踏み込んだ。
恐怖心もあったろうに…今のこのたった一瞬で持ち直した、その強靭な精神に感心する。
だが、そのまま惚けてはいられない。
ましてやレスタが使えなくなった事にショックを受けて立ち尽くすなど言語道断。
暁の剣がロックベアの頭上を切り裂いた音で、再び意識が現実に戻ってくる。
使えなくなった光のテクニックは一度捨てるべきだ。

…二番目に適正の高かった光が駄目なら、おそらくそれ以下の適正だったテクニックは
軒並み使えなくなっているだろう。
今は一番適性の高かった炎のテクニックにかけるしかない。
他に自分が戦う術は残っていないのだから。

「もう一度……」

三度目の構築。
時間をかけて作り上げた炎塊は、三度目にしてようやく技と呼べる程度にまで成長した。
そのまま慎重にロックベアの弱点とされる頭部へ狙いを定める。
カッと一層輝きを増した炎の塊が、頭上目掛けて放たれた。


「え」


ほとんど同時。
いや、僅かにロックベアの動きの方が早い。
炎を放ったその瞬間、目の前がロックベアの大きな拳で多い尽くされた。

何でこんな近くに……?

今更の疑問。
迫りくる拳をよける時間はもうない。
そんな一瞬の最中、無情にもフル回転した脳みそが、自分のミスの答えだけをはじき出した。


焦っていた事もあっただろう。
接敵して戦っていた暁に駆け寄り、敵に近づきすぎていたにも関わらず、その事を失念していたのもある。
そのうえ、自分は精神集中を要するテクニックを戦い方に選んでいた。

自分の間合いを見失った事。
戦闘スタイルの選択ミス。
自身の犯した致命的な欠陥が頭の中を埋めつくす。


―――…だが、後悔してももう遅い。
全身に受けるであろう酷いダメージを想定して、思わず身体がこわばる。


「ぐっ…!!!」


瞬間、背中に大きな痛みが走って倒れこんだ。
同時に炎が頭上をかすったらしいクマが地面に倒れこむ。
…………。

状況が飲み込めず、ほんの数秒だけ放心して……背中に走った痛みから、徐々に意識が覚醒する。
……かなり痛い。
だが、なぜ。
ロックベアの拳は真正面から見えていたはずなのに―――…
そうしてようやく、本来自分がいたはずの場所に倒れこんだ暁の存在に気が付いた。


「……お前な、思ってた以上に使えないんだが、これは一体どういう事だ?」


身体を僅かに動かす事すら痛みが伴うのだろう。
苦しそうに突っ伏したまま、それでも変わらない嫌味な声が聞こえてくる。
何度も聞いた不愉快なその言い回しに……返す言葉が何もなかった。

「庇ったのか、俺を」

彼の嫌みに乗せられて、自分がお姫様になったつもりは毛頭ないが……
彼とて「守ってやる王子様にはならない」とはっきり言っていたにも関わらず。


「そんな顔するくらいだ、ヤッパリお前はチャレンジに向いてないんだよ」


俺は一体どんな顔をしているのだろう?
無言で差し出した俺の手をとって、暁が吐き捨てるように言う。
その手を握り締め、もう一度精神を集中させたが、やはりレスタが構築されることはなく、
握った手が僅かに熱を帯びるだけだった。
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主にテクターやってます。
サブFoからSuに転向しました。
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最低限迷惑にならない程度のプレイを
心がけつつ、楽しんでます。

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