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小説:06「命を刈り取る事の是非」

チャレンジクエストを題材にした二次創作小説第二弾。

最初にこの小説を書こうと思ったときに、何話構成で、何話にどういうエピソードをいれて
どういう風に物語を進めるのか決めたのですが、大体箇条書きで決めたため、
いざ文章に起こしてみると、長すぎて区切ったりなどしてしまい、予想外に話が伸びてしまったな
というのは前回から変わらない反省点なのですが。(本来この話数で完結だったはずなのに!)

今回に関していえば、人類愛に満ちた某方の立ち回りが、意図しなかったにしろ
いちいちBLくさくて、悩んでいます。
前回もそこそこヤバいんじゃないかと思うところはあったけど……
やっぱ、ヒロイン不在はよくなかったかもしれないね。
おかげで1話まるっと書き直しもザラにあり……それを言うと、昨日チャレンジロビーで大爆笑されました。
ちゃうねん…この話、一般向けで、一部の人が喜ぶ話を書きたかったわけやないねん…。

もういっそBL小説デビューしちゃえよ、自称女子が見てくれるかもしれないぞ!
と、フレンドに言われたわけですが…。
BL小説だったら、最初からそのコンセプトでかく…よ。
主は何でも美味しくいただける人だからね!
でもこれはそんなつもりだったわけでは……。

前作はチャレクエの脅威に立ち向かう描写を強めに書いていたわけですが、
今作はそうではないので、人物の心理面に焦点を当ててます。
そのせいで、どうしてもはっておきたい伏線がBLくさくなるのでしょう。

……本当に、俺は何を書いているんだ…。(ものすごく長い言い訳)


↓↓ 折り畳み記事で小説本編へ


その約束が繋ぐ先
06:命を刈り取る事の是非


アドルフからもたらされた話は、胸糞の悪いものだった。
だが、正直なところ「なるほどな」という感覚の方が強かったかもしれない。

今までは自分自身に降りかかった災厄ではなかったために、たいして気にも留めていなかったが……
今にして思えば、実際このチャレンジ訓練が臓器提供工場だった可能性について、
検討する余地は多分にあったように思う。

俺と同じように、初めて受ける訓練に不安がある者を踏破させることで生計を立てる知り合いは何人かいたが、
そのうちの一部は、訓練で負傷したのち、例外なく姿をくらませていた。
…最初、それは足を洗ったか、思うように身体が動かず、踏破に失敗した間抜けなのだと思っていたが、
おそらくそうではなかったのだろう。

A5ランクのステーキが必要になったから出荷された……そんなところだ。


それに、不自然な回復を見せる奴の話も、まったく聞かなかったわけじゃない。
身近な例でいえば、まさにコウと俺の共通の知り合いがそうだろう。
最前線で戦うそいつの負傷が原因で、そもそもコウはこの訓練を受けにきた。
あと一歩治療が遅ければ死んでいたというソイツに、次があるとは限らない。
だから傍で守りたいのだと、そのためにソイツと共に前線へ出たいとエゴイストのコウは言った。
自分にはない、前線へ出るための実績作りがチャレンジなのだと……。
皮肉な話だ。

その時、俺もコウも目先の事しか考えてはいなかったのだが、
どうして深く考えなかったのだろうかと、今更自分の迂闊さに後悔する。
…他人の事情に深く関わろうとしてこなかったツケだろうか。
くそ…。


そもそも、『あと一歩治療が遅ければ死んでいたソイツ』は、どんな方法で復帰した?


コウがこのヴァーチャル訓練の中に、俺の腕の状態を治す何かがあると言った時、
それは単にシステムの調整や構造を探るものなのだと思っていた。
システムの調整ミスが、ヴァーチャル空間で負った傷を脳に刷り込み、
現実に再現してしまうなら、それを消し去る術を探そうという話なのだと思っていた。

だが、インターバルであの男が言い放ったのは「チャレンジには裏の顔がある」というものだった。
つまり俺の腕の神経は、システム調整のミスによる事故のようなものではなく、
誰かによって、意図的に殺されたものだという意味だろう。
勿論、俺の腕を治すには、システムを解明しなければならない事にかわりはないが、
単にシステムを探れば解決できて終わりだという問題でもない。

もっと疑うべきだった。


しかし、相変わらずいい嗅覚をしてやがる。
答えを知らないくせに、誰より答えに近い場所で立っている。
コウの疑念……それはほとんど答えだろうが。

侮れない奴だと、コウの姿をチラ見した。


「アドルフさんは……その考えに賛成なのか?」


思うところが限界に達したのだろう。
今まで静かに話を聞いていたコウが、俺が感心したのと丁度同じタイミングで、
瞳に非難するような色を浮かべながら、悲しそうに声を上げた。

先ほどまでのアドルフの話について、正義感の強いエゴイストのこいつには、
とてもじゃないが賛同できない内容だったのだろう。


…最悪のタイミングだな、と思った。

物事の本質を見抜くコウの性質。
それは今、おそらくアドルフの心をひどく抉ったことだろう。
何度となく触れられたくない部分に触れられて、心を掻きむしられた俺には
少しだけアドルフの気持ちがわかって同情する。


本職がメディックだというアドルフは、今の話を一体どこで知ったのだろうか。


……おそらく何人もの患者を診てきて、そのうえで違和感に気づいたのだろう。
知らず、傷つくはずもなかった誰かの命を犠牲にして、救った命もあったかもしれない。
知らず、直接自分の手で、他人の命を刈り取ったこともあったかもしれない。

案の定……コウの言葉に視線を逸らしこそしなかったが、
アドルフはかなり参ったような表情を作っていた。


「…俺は賛成ちゃうよ。いくら人命救助でも、非人道的なもんは好きになれん」


『人命救助』という言葉で思わず笑いそうになる。
その『人命』を救うために、まったく健康な誰かの命が救助されないのだから、とんだ矛盾だ。
メディックってのは、どこまでもお綺麗な言葉が好きらしい。

…だが、そんなお綺麗な言葉が好きな人間だからこそ……コウの言葉は堪えただろう。
俺なら黙っていてやるような話だが……
コウは自分の言葉が地雷のソレと気づいていないからこそ踏み込んでくる。
ほっとしたような顔を作ったコウは、残酷だなと思った。

それは、一度も汚い事に手を染めたことがない、綺麗な世界で生きているから作れる顔だ。
コウの言葉は大体正しく、理想論。
けれど、正しい理想であるからこそ突き刺さる。

世の中はコイツが生きてきた世界ほど恵まれているばかりではない。
それを望んだにも関わらず、手を汚してしまったアドルフには、とても辛い現実だろう。
正論は、時にどんなナイフよりも人の心を傷つける。

「よかった…アドルフさんが思った通りの優しい人で」
「…………」

困ったようにアドルフが苦笑を返す。
俺は心の中で「ご愁傷様」と吐き捨てた。

「―――…まぁ事の是非はともかくとして、当人たちの許可なくやってるってのはマズイな」

あまりに見ていられなくなり、助け舟を出してやる。
コウの言葉に耐えられなくなったのは、もしかしたら以前、自分の真意を見抜かれた経験からくる
俺の方だったのかもしれない。

…人の言葉選びをどうこう言う前に、自分も言葉を選んでくれ。
お前の大切なお友達は、多分この工場から出荷された肉のおかげで生きながらえてるんだぞ。
まぁ…その事に考えが及んでいれば、とても今の台詞は出てこないだろうがな。

「そう、それ、それや、問題は。
 だから真偽をたしかめたろうと思って俺はこの訓練を受けたんや。
 苦労してデータベースへのアクセスキーまで手土産にしてな」

俺の助け舟に気づいたのか、少しわざとらしいくらい声を明るくしてアドルフが答える。
もともとこいつの生き方がわざとらしく、どこまで本気なのかわからない人間だから、
不思議と違和感がないのが笑えた。

「わざわざ訓練受けなきゃ探れなかったのかよ。お前、意外と使えねぇな」
「決定的な証拠データは、ヴァーチャル内部でしかアクセスでけへん仕組みになっとったの!」
「ほぅ…じゃぁそれがこの訓練を受けた本当の目的か。
 何が婚活だ、ちゃんとした理由があるんじゃねーか。この狸野郎」

火山エリアで告げられた彼の目的を思い出す。
まぁ冷静に考えれば、あんなふざけた理由で命を懸ける奴がいるとは思えなかったのだが、
あまりにこの男が何度も愛をささやく上に、なまじ冗談とも思えない響きが含まれていたのが
俺の判断を狂わせたのだろう。
言葉選びはアレだが、意外とまともだったことに安心する。


「いや、どっちかっつーと婚活がメインで、調査はついでやね」


前言撤回。
ヤッパリこいつはろくでもなかった。


「ただ、まぁ……お肉工場の件やねんけど」

アドルフはそう言ってちらりとコウを見た。
せっかく話題を変えてやったのに、わざわざ話を戻すのか。
経験上、コウの真っすぐな目はかなり痛いところをついてくると思うのだが……
コイツは自分がそんな視線にさらされたいドMなんだろうか。

「賛同はせんけど、俺が身内やったら……どうなんやろうな」

ぼそりと言う。
……おっと、俺が予想していた事と随分違う切り口だ。
アドルフの言わんとしている事に全く見当がついていないらしいコウは
不思議そうに首を傾げる。


「もしコウくんが瀕死の重傷を負って、もし見も知らん他人の命で助かるって知ったら、
 俺はどうしたやろうなって。
 俺は多分……縋ってまうんとちゃうかな……」


…案外、アドルフの方も地雷を踏みに行く性質なのかもしれない。
言葉尻は柔らかいが、コウが言われてショックを受けるであろう言葉を的確に選んでいる。
しかもこいつの場合は多分、意図的だ。

もしかしたら、コウの無神経な言葉に対する、ちょっとした嫌がらせだったのかもしれないが…
表面的に受ける印象と、実際の言葉が持つ意味のギャップに俺は思わず警戒する。
油断ならない。
ドMかと思ったが、優しい顔をして随分とドSの気がある。
ご丁寧に、まさについさっき死の淵を彷徨ったコウを例に出すあたりも最高に洒落がきいていた。
アドルフを表面上のイメージだけで判断するのは、今後も止めた方がよさそうだ。


コウの様子を見れば、やはりというべきか……アドルフの言葉に、
酷くショックを受けた表情を作って…ばつが悪そうに視線を反らし、
みるみる元気をなくしてしょぼくれている。
どうせ、「所詮他人ごと」としてしかとらえていなかった自分に自己嫌悪でもしているのだろう。

「ごめん…俺、考えが足りてなかったな……」

弱り切って項垂れるコウに、内心笑った。
考えが足りていないというなら今もそうだ。

確かにアドルフの話は、一方通行の景色しか見えていないコウの視線を変えるという意味では
重要な話だったかもしれない。
だがそもそも、この話の論点は全く別のところにある。

問題は「自分の大切な人のために他人の命を犠牲にすること」への是非ではない。
「許可なく人権を無視して命を刈り取るシステム」への是非だ。

さらっと問題がすり替えられている事に気づいてもいない。
コウは少し、アドルフの事を信用しすぎだ。

「ええねんで、コウくん。
 それだけ俺がコウくんのこと大切に思ってるだけなんや」
「アドルフさん……」
「おいコウ。感動してるとこ悪いけど、お前はもうちょっと人を疑う事を覚えろよ。
 この金髪、素晴らしく詐欺師の才能がある」
「暁! なんちゅーこと言うねん!」

ギャーギャーわめかれるが、どの口が俺の言葉を否定するのか。
人を精神的に追い詰めた後で、甘い言葉をかけてやる……詐欺師そのものだろう。
意外に頭の切れるこの男を、少しは信用してもいいかと思いかけていたのだが……
むしろ逆に、最後まで信用しない方がよさそうだ。

「言っとくが、俺はお前が論点すり替えた事に気が付いてるからな」
「うぐぐ……折角コウくんが俺に惚れそうやったのに……」

コイツ、頭はよくても馬鹿なのか?


「論点のすり替え……あっ!」


ようやく気付いたのか、恨みがましくコウがアドルフを睨む。
きっとまた何も考えていないに違いない。

「一応言っておいてやるが、お前の大好きなお友達の怪我は、
 おそらくこの工場で出荷された肉のおかげで助かってるからな」

論点は別だが、だからと言って全く考えなくていい話ではない。
そう釘をさすと、コウは一瞬驚いた表情を作って、再び視線を落とした。
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名前 :コウ
人種 :ヒューマン/男性
メイン:Te/Su
Ship :10(現在8に旅行中)

チーム10:Rosen Kreuz(マネ)
チーム8:Re:Monster(コモン)

ガンナーに憧れつつ、
主にテクターやってます。
サブFoからSuに転向しました。
メインとサブクラスLV.80!
他クラスLV.75!

マトイちゃんとリリーパをこよなく愛す、
ファッションショーとSS撮影が
メインと化しているエンジョイ勢。

最低限迷惑にならない程度のプレイを
心がけつつ、楽しんでます。

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