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小説:05「A5ランクの肉」

チャレンジクエストを題材にした二次創作小説第二弾。

何となくバレてるかもしてませんが、同行者二人のやり取りを書くのが好きです。
あと、見せ場を作る手前、足を引っ張る役を自分が担ってますが……
「俺、普段こんなひどいか??」と思い、自問自答しながら書いてます。
信じたい…ここまで足を引っ張ってはいないのだと…。

本当は登場人物全員をカッコよく書けるようになりたいのですが、
実はそれがとっても苦手。
チャレンジ同様、練習しなければいけません。

ちなみに昔チャレでソロをした時、M2を突破できませんでした。
ヤッパ、クソ野郎かもしれない…。


↓↓ 折り畳み記事で小説本編へ


その約束が繋ぐ先
05:A5ランクの肉


「暁っ!!! やっと追いついたで!!!」

強制的に訓練が始まってから1時間。
ミッション9と書かれた森林エリアに到達しようという頃になって、背後からアドルフの声が響いた。

「――――――…」

一瞬かける言葉を失うくらいには意外だった。
内心、コウを助けるのは無理だと思っていたし、アドルフがコウに見切りをつけて追ってくるにしても
もっと後だと思っていた。

…実際そう思っていたにも関わらず、コウを助けると言ったアドルフの提案に乗ったのは、
どこかの誰かに触発されたのか……ありもしない夢を見たいと思ってしまったからなのだろう。

自分で自分の弱さに笑えてしまうが、トラウマが脳裏をかすめ、希望に縋ってしまいたかった。
そんな甘えが、彼に後を託してしまった。
なのに。

彼のその背には、ぐったりこそしているものの……コウがしっかり呼吸を繰り返してそこにいる。

本当に約束を守りやがった。
アドルフの手は火傷や凍傷でボロボロのようだったか、気づかないふりをしてやる。
相当…無理をしたのだろう。
ここで彼を心配すれば、称えられるべき彼の勇姿に、泥を塗ってしまうような気がした。

…まぁ、平時のコウならすぐに気づいて心配し、すっ飛んでいくんだろうがな。
そう思って、自分に余裕が戻ったことを知る。
……くそ、アイツは俺の精神安定剤か?
勘弁してくれ、俺を振り回す事しかしない奴だぞ。



「…本当に追いつくとは思わなかったな」

コウのせいで、どうにもメディックは全員頭の緩い理想主義の野郎かと思っていたが、
実際前線に出るメディックとなれば、こうも違うのか。
少し認識を改める。
出会いがしらから、会話の通じない馬鹿だとばかり思っていたが…。
もう少し、この男の事を信用してもいいかもしれない。

「暁は随分進むん早いねんな……こんなに先に進んでるとは思わんかった。
 追いかけるのも苦労したで」
「馬鹿言え、平時ならここまで1時間もかける間抜けはいねぇよ」

わかりやすいほどの直線コースだ、1時間もかけていたら笑えない。
けれどそれを、俺の冗談だととったのか、アドルフは小さく笑った。

…ま、今はそういう認識でいてくれ。

無茶な約束を守らせたんだ。
今度は俺の番だろう。
―――…必ずこいつら二人を現実世界にまで送り届けてやる。
そのためにはまず、アドルフの背中でぐったりしているコウを何とかするところからか。

「おい、コウを下せ」
「えぇ? コウくん身体冷え切って弱ってるし、今はちょっと……」
「モノメイト突っ込んどきゃ、そんなもんすぐ治る」

強引にアドルフからコウを引きずり下ろすと、意識が朦朧としているらしい
コウの口へ、強引にモノメイトを突っ込んだ。

「んぐっ!!! ゲホゲホ!!!!」

盛大に咳き込む。

「ちょ…暁! 患者に何してんねん! 呼吸止まるやろ!」
「まぁ見てろ」

慌ててアドルフがコウの口からモノメイトを引っこ抜く。
…ま、この訓練の性質を知らないなら無理はないか。
平時はともかく、この訓練においての救急キットは、システムが使用を認識した時点で
効果が発動する仕組みになっている。
俺には前回、今以上に死にかけていたコウの口にモノメイトを突っ込んで蘇生させた経験もあった。
まず間違いなく、すぐに復帰するだろう。

やがて、咳き込んではいるものの……徐々にコウの顔色に赤みが差してきた。


「っ…、かはっ……死ぬかと、思った……」

以前と全く同じセリフをはいて、コウはゆっくりと地面から立ち上がる。
その様子に、アドルフは驚愕の表情を浮かべていた。

「何なんこのモノメイトって…レスタみたいなもんなん?」
「ま、その認識でいてくれ。もっともヴァーチャルでしか体験できない恩恵だがな」

コウがチャレンジにおいて、瀕死の重傷から蘇生するのはこれで二回目。
おかげですっかりその状態に慣れてしまったのか、驚きで固まるアドルフの前に、
借りていたらしいマフラーを差し出して小さく礼を言う。

「ありがとう、アドルフさん」

…出来れば死にかけることに慣れるのではなく、生き残る事に慣れてほしいわけだが……
先ほどのアレに関しては、コウは全面的に悪くない。
俺は出かかった言葉を飲み込んだ。

「…しっかし、暁はスパルタでドSやな…もうちょい優しくでけへんかったん?」
「貴重な物資をつぶしたんだぞ? これ以上ないくらい優しいだろうが。
 それともお前にはもっと優しさにバリエーションがあるとでも?」
「ゆっくりと、王子様のキスで口移しを」
「万一俺が死にかけても絶対やるなよ」
「純然たる医療行為やのに……」
「嘘つけ、誤嚥で悪化する未来が見える」

医者が平気で出来もしない治療法を提案するな!
俺は軽く苛立ちに眉を寄せたが、とりあえずこの欲望にまみれた男のふざけた発言に
イライラする程度には意識のリソースが割けている。
俺の首に手がかかっていたトラウマの気配が消えて、ほっとした。



「…二人とも悪い……迷惑をかけたな」

会話が一度途切れたところで、コウが申し訳なさそうに頭を下げる。

「あれはお前のせいじゃねぇだろうが」
「……君が優しいと不安になるんだが」
「おい」

…一度飲み込んだ言葉を吐き出してやろうか。
どうもこいつは勘違いをしているようだが、
別に俺は常日頃から息を吐くように嫌みを言って回っているわけではない。

無論、この性格だ…それが全くないとは言わないが…。
ほとんどの場合、単純に気に入らない事があった時に口を出すだけで、
兎角コウの場合はソレが多いだけだろう。

だが今回に関してだけは、コウに不注意は何もなかったはずだ。
単純に心配しただけなのに、こう返されるとまた嫌みの一つも言ってやりたくなる。

…しかし今は、それよりも先に問いたださなければならないことがあった。

本音を言えば、たとえコウが泣いて懇願しようが苛め抜いてやりたくなったわけだが、
その衝動を抑えて、アドルフへと向き直る。


「コウの事はとりあえず決着だ。金髪、さっきの事…改めて説明しろ」


色々苦い思い出の詰まった森林エリアを速足で進みながら疑問を投げる。

「お前が知ってたパスは何だ? お前は何を隠してる」
「あー……アレな」

アドルフも物事の優先順位を考えたのか、これ以上特に余計なことを喋るでもなく、
復帰したばかりのコウの様子を気にしながらではあったが、
足を進めながら言葉を選ぶように視線を彷徨わせた。

「…ほんまは喋らん方がええ気がするけど。まぁ暁は当事者やし…しゃーないか」

そう言いおいて、アドルフは頭をかいた。

「気分のええ話とちゃうで?」
「安心しろ、お前が気分のいい話をした事は訓練開始から一度もない」
「うぅ……辛すぎるで……」

アドルフは一瞬だけがっかりと項垂れてから、気持ちを切り替えるように声のトーンを落とし、
真面目な声音で言葉をつづけた。

「俺の本職、メディックやって言うたやろ?」
「ああ」

絶賛氷漬け中だったために、その話を聞いていなかったコウが目を丸くする。
だが、話の腰を折ってはいけないと思ったのか、何事か言いたそうな顔こそしたものの
結局会話に割って入りはしなかった。

「前線は過酷やで…だから、ちょっとヤバい状態の患者を診ることもあるわけや」
「ま、手足が吹っ飛ぶ程度が可愛いと思えるようなのはザラだろうな」
「で……そんなヤバい状態の患者やねんけど、ある時急激に増え始めた」

俺は前線に出ていないから詳しくはないが……おそらくそれは事実なのだろう。
昨今戦闘は激化していると耳にするし、そもそもコウが初めてこの訓練を受けると言って
俺を訪ねてきたのも、その理由に近かったはずだ。

「前線でも名の通ってたような奴が、再起不能になるような事態が多発してな。
 アークス本部も結構参ったみたいやで」

そりゃぁ参るだろう。
変わりがいくらでもいるような雑兵と違い、前に立って士気を高め、
一騎当千で戦える奴は限られている。

「結果……ちょっとヤバい結論を出してもーた」
「ヤバい結論?」
「強いアークスをいつまでもベッドで眠らせとけるほど前線に余裕はない。
 でも、いくら強固なメディックでも、傷は治せたところで吹っ飛んだ手足はつけられへん」

コウの視線がわずかに揺れる。
どうせ俺の右腕の事を気にしているのだろう。
アドルフの言葉は、コウにとって痛いほどわかる話らしかった。


「なら、新しい手足をつけてまえ、ってことになった」


…は?
一瞬訊き返しそうになる。
今の俺がそうであるように、戦場で負った怪我のせいで、義手・義足の兵士はいくらでもいるからだ。
今更、それの何がヤバい話なのかがわからない。
何が言いたいのかと問い返そうとして……先ほど自分が言った言葉を思い出した。


―――…手足が吹っ飛ぶ程度が可愛いと思えるようなのはザラ


つまり、アドルフが言いたいのはそういう事だ。
手足なんてマシな言葉で飾っちゃいるが、実質取り換えようってのは、手足の話じゃないだろう。
脳に損傷が出たのなら脳を、心臓が壊れたのなら心臓を。
つまり、そういう倫理観など無視した“ヤバい結論”が、アドルフの言う言葉の答えだ。

だんだんこの男の言いたいことが見えてくる。
俺の右腕を補助しているのは機械だが、それは右腕だったからだ。
機械では補えないような部位が損傷した場合、それは一体どこから“新たな部品”を調達するのだろうか。

「なるほどな……あのデータベースは在庫管理で、俺は今、出荷待ちのステーキってとこか」

チャレンジ訓練とはつまり、臓器の貯蔵庫。
この訓練に耐えられるような猛者ならば前線へ。
耐えられない弱者ならば強者の糧へ。

ここでの死は、現実の人間から意識だけを奪い、
残った身体を新鮮なまま強者へ送り届けるための加工場だったのだろう。
となれば、管理システムがイコール在庫管理のデータベースになっていたのも納得だ。

「さっきのデータ…暁はSランクやった。相当腕がたつんやな…。
 前線で名の知れた負傷者は、すぐに復帰させようにもなかなか丈夫な部品が見つからへん。
 特に心臓は…簡単に鍛えられるもんとちゃう。暁はA5ランクの肉やろうね」
「最悪だな、クソッタレ」

感覚が奪われながらも、壊死すらしない右腕はいわば首輪。
そこから全身を侵食され、動けなくなった俺はその時死ぬのだとばかり思っていたが……。
クソ、アレは俺の全身の感覚を奪う、ステーキ加工の工程だったのか。

臓器は新鮮でなければならない。
俺はそのために、不要な感覚を少しずつ殺されながら、今日まで生かされていたのだろう。
いや、それも多分、失ったのが片腕だけだったものだから、
神経の浸食も緩やかなもので済んでいたに違いない。

もし……もっと酷い怪我を追っていたら、今日まで俺は意識を保ってはいなかっただろう。
今頃立派なステーキに早変わりだ。

そして時が来れば、半死半生の状態で美味しく出荷されるに違いない。

俺一人世間から急に消えたところで、チャレンジを受けるような物好きを
気に留める者はほとんどいないのだから、それもなおさら好都合だったはずだ。
胸糞が悪い。


俺が不快感に眉を寄せると、アドルフは少しだけ申し訳なさそうに表情を歪めた。
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名前 :コウ
人種 :ヒューマン/男性
メイン:Te/Su
Ship :10(現在8に旅行中)

チーム10:Rosen Kreuz(マネ)
チーム8:Re:Monster(コモン)

ガンナーに憧れつつ、
主にテクターやってます。
サブFoからSuに転向しました。
メインとサブクラスLV.80!
他クラスLV.75!

マトイちゃんとリリーパをこよなく愛す、
ファッションショーとSS撮影が
メインと化しているエンジョイ勢。

最低限迷惑にならない程度のプレイを
心がけつつ、楽しんでます。

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