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小説:02「彼の目的」

チャレンジクエストを題材にした二次創作小説第二弾。
まだ完結までは描き切っていないにしても、一応半分くらいは書いてあって
ストックがあるので、ちまちま更新しているアレです。

例のあの人、勿論許可とったフレンドの一人がモデルなのですが…。
チャレンジやってたら見かけたことがある方もいるかもしれませんね。
ホントにチャット面白い人で…心底すごい人だなと思います。
キャラが濃くて、彼のチャット見たさにチャレンジブロックにいることがあります。(笑)


↓↓ 折り畳み記事で小説本編へ


その約束が繋ぐ先
02:彼の目的


森林エリアを抜けた先の火山エリアは、相変わらずの熱気だった。
目を凝らせば案の定、薄っすら紫煙が漂っている。
…健康を損なうような毒ガスの充満も、相変わらずらしい。

「何なんこのエリア、微妙に臭ない?」
「野生動物みたいな奴だな」

アドルフの不満に、暁が思わずといった風に言葉を返した。
彼が感じた異臭―――…その原因はおそらくこのエリアに蔓延する毒ガスだろう。

チャレンジ経験者 ――といっても、たったの一度でしかないが―― の俺より
アドルフはずっと動ける人間だが、それでもこの訓練を受けたことはなかったらしい。
初めて見る火山エリアの光景に、彼は眉をひそめていた。

言いえて妙だなと思う。
俺のように医療現場に従事していた者や、暁のようにこの訓練に慣れている者であれば
毒ガスという異常事態にはいずれ気が付いただろう。
あるいは長時間この場にとどまっていたとすれば、急激な体調の悪化で
このエリアに蔓延する何らかの異常を察したかもしれない。
けれども彼は、そのどちらでないにも関わらず…。
このエリアに入って即、異常な空間であることを見抜いてしまった。
異常の原因を特定するには至らなくとも、危険を察知する能力はかなり優秀らしい。

「ワイルドでかっこええって? 惚れてええで!」
「うぜぇ」

『惚れてええで』とは、彼の口癖なのだろうか…。
全方位に向けて放たれる愛情表現に、思わず苦笑する。
暁は心底めんどくさそうに言葉を切り捨てた。

「さて、じゃぁ進むか。言っとくがゴールは見えてる。何も考えずに走れよ」
「OK、わかったわ。暁の尻だけ見て走るで!」
「ぶふぉ!」
「なんや、盛大に噴き出したな……大丈夫か、コウくん」

…思わず噴き出してしまった。
常々暁の言葉選びは最低だなと思っていたが、アドルフも負けないくらい言葉選びがマズイ。
勿論暁とは別の方向性で、だが……。

「いや……大丈夫、気にしないでくれ…」

言葉をかけられた暁をちらりと見れば、真っ青な顔で目を見開いていた。
……初めて見たぞ、そんな顔。
随分と親しみの持てる表情を作るじゃないか…。
思わず呑気に考える。

「…それじゃ、行くぞ」

僅かに声が裏返る暁が走り出そうとしたところで、俺は彼の服を掴んで待ったをかけた。

「その前に、忘れてないか?」

持ち合わせていたハンカチを3つに割き、モノメイトを沁み込ませる。
それを二人に押し付けた。

「このエリアには毒が蔓延している。気休めにしかならないが、これを口に当ててくれ」

暁に何度となく非難された事ではあったが、それでもこればかりは医療に従事する者としての性分だ。
諦めてもらうしかない。
そんな俺の行動に、暁はやはりというか、苛立ちに眉を吊り上げながら抗議しようとして―――…

「お前また貴重な物資もがっ!!!」
「コウくん優しすぎか!!!」

……大きく手を振り上げて感動する、アドルフの強烈な言葉とリアクションに飲み込まれた。
彼の予想外のリアクションは見事に暁を突き飛ばし、受け身も取れないまま熱い地面に尻をつく。
ビキッと暁の眉間にしわが寄った。

俺は何度も暁を怒らせてきた手前、彼の怒りに歪んだ表情は幾度となく見てきたが―――…
これはまた、今までに見たことのない表情だ。
今日は随分と暁の新しい一面を発見する。

「コウくん、結婚しよう」
「え?!」

しかし、今までにない表情を作ったのはおそらく俺も同じだっただろう。
次の瞬間かけられたアドルフの言葉に、今度は俺の声が裏返った。

「…いや、わかってると思うが、俺は男…」
「奇遇やな、俺もやで」
「いやいやいやいや…」

どこから突っ込めばいいんだろうか。
困惑にぐるぐると視線を彷徨わせていると、立ち上がった暁が心底苛立った声を上げた。

「お前さっきから一体何なんだ?!」
「何って、口説いてんねやけど?」
「ふざけるな。何のために訓練受けたのか訊いてるんだ」

暁は口も悪く、笑えない冗談も多いが、それでもこのチャレンジ訓練に関しては真剣だったし、
おそらくはその危険性も身をもって知っているだろう。
だからこそ、アドルフのふざけた言動は随分と彼の琴線に触れたらしい。
しかし、ものすごい剣幕で叫ぶ暁の事などどこ吹く風……。
アドルフから返ってきたのは、暁は勿論、俺でさえも想像しなかったとんでもない答えだった。



「だから口説くために訓練受けたんやけど」



「「……は?」」

思わず俺と暁の声がはもった。

「婚活や、婚活。まさか俺のほかに訓練受けてる奴、二人しかおらんとは思わんかったけどな」
「おいおい、どこをどう間違えたらこの訓練が婚活パーティーに見えたんだ?」
「いや、聞いてや。前線におった時にも俺、全方位に口説きまくって愛をささやいたんやけど……
 誰も相手にしてくれへんようになってもーて。他に残ってる婚活の場、ここしかなかってん」
「…お前は…本物の馬鹿なのか?」

暁が、罵倒ではなく困惑の表情を作る。
まさしくその言葉が、暁の本心らしい。
…こんなにストレートに感情を表現する暁など、初めて見たが……
おそらく俺も彼とそんなに大差ない表情を作っているだろう。
こんなに自分たちのペースを乱されるとは思わなかった。

「最初に訳アリやって言うたやろ?」
「誰がこんな訳を想像するか!」

暁の的確すぎる突っ込みに、それ以上の言葉が出ない。

「老若男女、誰でもええねん! 誕生から墓場まで、俺はどんな相手でも愛せるで!」
「お前……最低通り越して尊敬する…」

暁が5年は老けたような顔でため息をついた。
かつて惚れた女性への愛を貫く暁とは、まさしく正反対だ。

「だからコウくん、結婚しよ?」
「いや、そう言ってもらえるのは嬉しいが……」

だんだんこの場が一体何なのかわからなくなってきた。
暁に再会した折、彼の貞操観念やモラルの低さに頭を痛めたものだったが、
アドルフに関していえば、それすらも超越しているように思えてしまう。
なんだか世界の常識が書き換わったような気になって、俺と暁は同時に顔を見合わせた。

「暁でもええで?」
「お前、だからモテねぇんだろ」

思わず心の中で同意する。
顔立ちは整っているし、雰囲気も優しそうなのだが…。
そんな堂々と、とっかえひっかえ声をかけられては、誰も彼を信用しないだろう。

「誰でもええねんからしゃーないやん」

しかしアドルフは言葉を取り繕おうともしなかった。
いっそ清々しい。

「あ、でも一途になったら結婚してくれるんか? 暁は」
「お前相手は死んでもしない」
「じゃぁコウくんは?」
「え、お、俺? …『じゃぁ』ってのはひっかかるが…まぁ…一途なら考えない事も―――…」
「馬鹿、いちいち真面目に答えるな」

暁が唾を吐くように吐き捨てる。

「ならコウくんに一途になるわ!」

ケロッとそう言うが、彼の場合はかなりこじらせているように見える。
言って一途になれたなら苦労はしないだろうなと思った。
苦笑を浮かべる俺の横で、暁はとんでもない現場に居合わせてしまったという表情を作りながら、
心底不機嫌そうに声をあげた。


「―――…くそ、無駄に時間を浪費した! 進むぞ!」


気が付けば、アドルフの空気に飲まれ火山エリアでの滞在時間が思ったよりも増えていた。
慌てて走り始める暁を追って、俺とアドルフも足を進める。

「アイツ…戦闘に関しちゃ問題ないが、邪魔しにきたんじゃないだろうな……」

ぼそっと吐き捨てた暁に俺は否定の言葉を返せない。
もっとも、本人にその気は全くないのだろうが……俺達は随分と本来の目的を見失っていた。

―――…だから、だろう。
俺はすっかり気が緩んだまま足を進めてしまっていて。
ゴール付近に出てくる、“奴”の事を今の今まで失念していた。

気づいたときには地面が揺れて、このエリアの支配者である
バーン・ドラールが眼前すぐのところに立ちはだかっている。
そしておそらく、気を緩めていたのは俺だけではなかったのだろう。
先ほどの会話ですっかりペースを乱された暁も、らしくないことに……
地面が揺れる瞬間まで、彼の竜の登場に気が付いていなかったらしい。

露骨に、「しまった」という表情を作った彼と、目が合った。

揺れる地面に足をとられて、動きが止まる。
ヤバい―――…ゴールはもうすぐ目の前だというのに、これでは以前の二の舞だ。


「まかしとき!」


俺と暁が焦りに表情を歪めたその瞬間、すぐ後ろから声が飛んだ。
この場で唯一冷静だったアドルフが、一気に俺達の前へ走り出る。
……まぁもっとも、俺達が冷静さを欠いたのは彼のせいなのだが、深くは言うまい。
暁の背中からライフルをかすめ取ると、なぜか俺に向かってウィンク。

「そういう余裕は今いらねぇだろうが!」

暁の怒声にがっかりしたような表情を作って、アドルフが引き金を引いた。
しかし、余裕を見せすぎたせいだろう。
弾丸は明後日の方向へ跳躍し、なんとかギリギリ……バーン・ドラールの頬を掠っただけだった。

「ありゃ?」
「ふざけんな、助っ人に入るくらいな目を狙え!!!」
「注文多いやっちゃなぁ…」

しかし、そんなダメージでもバーン・ドラールの敵意を向けるのには十分だったのだろう。
アドルフにターゲットを絞った巨体は、その身体からは想像もつかない程早い速度で、
彼に向って突進してきた。

「「うわぁっ!!!」」

俺と暁の声がはもる。
アドルフは俺達のすぐ目の前で彼の竜の注意を引いていた。
となれば、竜がアドルフに向けて突進すれば、自然俺達にも被害が及ぶわけで……。

「っぶねぇな、お前マジでいい加減にしろよ?!」
「ちょっとしたお茶目ちゃん、笑って許してや」
「そのお茶目で死んだら笑えるか!」

とっさに避けると、アドルフは悪びれず、竜を出口から引き離しながら笑ったが、
暁の顔は怒りに震えて真っ赤だった。

「……アドルフさんはすごいな…」

思わず素直な感想を述べると、暁が最高に不機嫌な顔で俺を睨んだ。

「そう睨むなよ…」
「今のアイツのどこを見て、そんな呑気な感想がでてくるのかと思ってな。
 常々お前の思考回路は壊れていると思っていたが、今ので確信した。
 頭を丸ごと交換することをお勧めするね」

いつもの嫌みが返ってきて、俺は思わず苦笑を返す。

「君の素はきっとアドルフさんと喋っている時の方だろう?
 俺はさっきだけで暁の初めて見せる表情をいくつも知った。
 俺には君から引き出せなかった感情だ。しかめっ面してるよりも随分生き生きして見える」
「コウ…お前喧嘩売ってんのか」
「ヤッパリそうだ、そうやって俺には一歩引いた位置から冷静でいられるんだろう?」
「冷静、なぁ…」

そう会話を切って、暁はゴールへと足を進めた。
…そういえば呑気に会話をしている場合ではない。
アドルフが竜を引き連れて戻ってくる前に、俺達は次のエリアにつながるゴールをくぐってしまわなければ。
でなければ、何のために彼が危険をおかして竜の気をひいてくれたのかわからない。

「言っとくが俺はお前にも散々振り回されてる。
 頭痛がしたのも迷惑をこうむったのも、お前とあの金髪とじゃ言うほど大差ないからな」
「そこまで振り回されてくれていたなら僥倖だ」
「ぶっ殺すぞ」

出会った頃は、近寄りがたい空気すらまとっていたというのに。
冷静な仮面を外した暁は、少しばかり落ち着きなくそう言った。
やはり、彼をそういう風に変えたのはアドルフだろう。
そう思うと、自然に全てをさらけ出させてしまうアドルフの人柄はやはりすごい。
結婚はまぁ…冗談にしても、人として、少し惹かれ始めている自分がいた。


「―――…だがもし、コウの言いたいことが事実なら」
「うん?」


そう感心したところで、俺の考えを察したのか……
それとも暁自身、自分の本性を彼に暴かれている自覚があったのか。
とにかく、暁は一瞬だけ表情を硬くして。


「それって、かなり怖い事だな」


そう低い声で呟いた。
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ガンナーに憧れつつ、
主にテクターやってます。
サブFoからSuに転向しました。
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