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小説:01「新たな同行者」

チャレンジクエストを題材にした二次創作小説第二弾。
とりあえず話が始まる1話まで。

眠くてたまらないのですが、ここまで公開出来て満足です。


↓↓ 折り畳み記事で小説本編へ


その約束が繋ぐ先
01:新たな同行者


―――チャレンジを開始します。
頭に直接響くようなオペレーターの声とともに、視界が開ける。
眼前に現れた晴天に、俺は感嘆の息を吐いた。

この訓練がいかに過酷なものかとわかっていても、最初に訪れるナベリウスの光景はどうしたって心地がいい。
…とはいえ、以前訪れたソレと何ら変わらない世界に、やはりこの世界は虚構なのだと思い知らされる。
本物の自然は、いつ訪れても心地がいいなどという事はあり得ない。
俺は数日前に訪れたこの世界の事を思い出しながら、ゆっくりと気持ちを切り替える。

……今回の目的は踏破ではない。
この訓練の闇を暴き、暁の死を回避すること。
だが、その調査をしようにも、当然この世界を構築するシステムへのアクセス権が俺にはなかった。

可能性があるとすれば、たった2時間しかないインターバルの間だろう。
あそこには時間を表すモニターが設置されている。
…そこにアクセスさえできれば、おそらく何らかの情報は得られるはずだ。

しかし、そうするためにはインターバルまで是が非でも辿り着かなければならない。
一番最初のインターバルまでの道のりを、ゆっくりと思い出す。
……少し、自信がなかった。

何せ、前回この訓練を受けた時、最初のインターバルまでは暁についていくのがやっとだった。
ほとんど一本道のおかげで、迷う事はないだろうが―――…エネミーと相対するタイミングは
きちんと覚えているだろうか?
いざ訓練を目の前にして、情けなくも不安に駆られる。
遠く見えない、このエリアの出口へ思いをはせて……見知らぬ男と目が合った。

「え?」

俺より少しばかり背の高い、金糸のような綺麗な金髪をした青年。
眼鏡をかけているせいでわかりにくいが、左右の瞳の違いから、どうやら種族はデューマンらしい。
赤い和服をまとったその青年の第一印象は、「とても派手な人」だった。

「あー…今回訓練実施回数の都合で、俺らのほかに一人、同行者がいるらしいな」

俺から数秒遅れて訓練のスタート地点に立った暁がタバコに火をつけながらそう言った。
なるほど、同行者…。
本来この訓練は、最大で12人まで同時に行う事が出来るという。
チャレンジ訓練がメジャーだった頃はそういうものだったと、暁が以前言っていた。

しかし、たばこは彼にとっての精神安定剤。
本心では今のこの状況を歓迎してはいないのだろうなと、静かに悟る。
彼は多人数で受けた訓練で、最愛の人を失くしてしまった。
嫌でもその事を思い出してしまうのかもしれない。
少しだけ心配になって、そっと暁の表情を確認してみたが、その心境はよみとれなかった。

暗い茶色のコートを着込み、表情を隠すようにして深く帽子を被っている暁は、目の前の青年とは対照的だ。
唯一の共通点は眼鏡らしいが、人の好さそうな青年の明るいソレと比べ、
暁には表情を読ませないような暗さがある。

帽子といい眼鏡といい…見るからに人を信用していない風な彼と、
派手で人好きそうな雰囲気を醸し出す青年とを思えば、そのあまりにも正反対な風貌に、
もしかしたら人としての相性もあまり良くないのではと予感が走る。

暁を振り回している手前、人の事は全く言えた義理ではないのだが…。
多分、目の前の青年は暁の苦手なタイプだ。


「お、暁、たばこか! ええやん! かっこええな!」


暁がタバコの煙を吐いたところで、青年が明るく声をかけた。
独特の方言が入った口調。
気さくそうなその雰囲気に、俺は先ほどの予感をふりはらって、ほっと息をついた。

暁の苦手なタイプだろうと思ったのだが……どうやら杞憂だったらしい。
これだけ気さくに話しかけてくるのだ。
おそらく彼とは旧知の仲なのだろう。
少なくとも、訓練開始前から険悪な空気が広がることはなさそうだ。

「知り合いか。やっぱり君は顔が広―――…」
「いや、全然。何だこの馴れ馴れしい奴は」

俺が言い終わらないうちに、暁が眉を寄せて即座に否定する。
誰が見ても分かるような不快感を隠そうともせず、火のついたままタバコを握りつぶした。

「…は? いや、でもあんなに気さくに……それに名前だって」
「名前くらい事前にカウンターで訓練者の名簿でも見りゃすぐにわかる」
「それはそうかもしれないが―――…」
「そっちはコウやな。お? 思ったより可愛い顔してるやん!」

暁へ言葉を言い終わらないうちに、青年はそう言って俺の目の前に立つと、まじまじと顔を眺めてきた。
…距離がとてつもなく近い。
単純に目が悪いというわけではなく、どうやらこの青年は他人との距離感が少しおかしいようだった。
そういう意味では、暁も似たようなものではあったが……彼のそれと、目の前の青年とでは
随分その性質が違う。

「ほら見ろ、お前の事もご承知だ。よかったな、かわい子ちゃん。
 むしろこの脳みその足りてない感じ、お前のお友達だってほうがしっくりくる」
「君はいつ、どんな状況で、誰に対しても口の悪さを欠かさないな」
「平等だろう?」
「褒めてない」

本質は優しい人間なのだから、それを表に出せばいいものを…。
どうして彼はこうも他人を敵に回すような言葉を選ぶのだろうか。
今の言葉、目の前の彼には聞こえていなかったろうかと冷や冷やしたが、
聞こえていたかどうかはわからないにしても、青年は笑顔を浮かべ、特に気にした様子はなくほっとする。

…最初に危惧した通り、訓練開始前から険悪な雰囲気はごめんだ。

「お前、たしかカウンターで確認した名前はアドルフって言ったか?」

暁が不快な表情を崩すことなく言葉をかける。

「そうやで」
「所属は前線6番隊……前線で働くような奴が、なんで今更訓練なんか受けに来た?」
「何なん? 俺のそんな詳細な情報……暁、俺の事好きなん?」
「今すぐ殺すぞ。答えろ」
「照れてんのか? 顔はイケメンやけど、意外とかわええ奴やな。
 まぁええわ…ちょっと訳アリやねん。まぁ心配せんでも、別に戦闘面で足引っ張ったりはせんから安心してや」

マイペースに明るく話す青年を前に、暁のこめかみがビキビキと音を立て始めた。
やはり危惧した通り、暁の苦手なタイプなのだろう。
まぁそれを言い出したら、おそらくは俺も、彼にとって苦手なタイプの人間だろうが。

「本当にそうならいいけどな」

暁が嫌みたっぷりにそう言いおいて、ちらりと俺を見た。
……言いたいことはわかる。

俺は以前、最初のミッションでドジを踏み、暁に庇わせた結果、大けがを負わせてしまったことがあった。
彼にしてみれば、俺のほかにもう一人守らなければならない人間が増えたような心地なのだろう。
それも万全ではない状態で、苦手なタイプの人間を。



一瞥する暁の視線に重なって、かつて聞いたオペレーターの機械的な説明が終了した。
「健闘を祈ります」という言葉で締めくくられた瞬間、チャレンジ特有の身体への負荷が訪れる。
ずっしりと全身が重くなり、自由が利かない。
力が抜けていくような感覚に、俺はかつての訓練同様、再び全ての回復手段を奪われた。

今からこの状態で、俺達は最深部まで走り抜けなければならないだろう。
レスタは使えない。シフタもデバンドもアンティも。
頼みの綱のテクニックでさえ、おそらくはまた、炎を形成するだけでやっとなはずだ。

……いや、それでも今回いくらかマシか。
俺の目的を考えれば、最悪……最深部まで辿り着けなくても構わないのだから。
しかし、少なくともインターバルまではこの過酷な状態のまま、休む時間は得られないだろう。
開幕早々トップスピードで走り出す暁の背を追って、何とか足を進める。

「…コウ、大丈夫か?」
「え?」

息を荒げて暁の後を追っていると、アドルフと名乗った青年が、俺の速度に合わせるように
走るペースを落として気遣うような声を投げた。

「顔色あんまりよぉないし…かなり無理してるんとちゃう?」
「気を遣わせたかな…ごめん。走るくらいはついていけるから大丈夫だ」
「そうか…どうしても無理やったら言いや? 背負って走ったるからな」

予想外に優しい言葉を懸けられて、一瞬返す言葉を失った。
本当に息は切れるだろうが、走る分には問題ない。
問題ないが……ここで返ってくるなら、暁のような言葉の方が適切だろう。
自分の身の丈にあっていない訓練を受けるべきではない。
非難されることだって覚悟したのに。

「いや…気持ちはありがたいが……どうして?」
「どうしてって…何が?」
「自分の身の丈にあった訓練ではないと思わないのか?」
「自分で言うとるやん、これ『訓練』やって。
 現実の戦場やったら身の丈に合わん場所は他人も迷惑するし止めた方がええけどな、
 訓練は慣れるための場所やろ。力がないんは当然や、いちいちそんなこと気にしなや」
「でもこの訓練は他とは違って―――…」
「せやから困ってたら助けたるんや。無理してでも訓練受けて、成長したい事情があるんやろ?」

にっこりと微笑まれて、胸が締め付けられる。
本当に前線を経験したことがある人間は、こうも心と視野が広いものなのだろうか。
まるでフィクションの世界のヒーローのような言動に、俺は少しだけ、救われたような気になった。

「アドルフさんは……優しいな」
「惚れてええで?」

うっかりしていたら、本当に一線を超えてしまいそうだと思って苦笑する。
暁も優しい人ではあったが、こうしてストレートな言葉をかけてくれることは一度もなかった。
別に甘えたかったわけではないし、それを彼に望んでいたわけでもなかったが……。
常日頃から彼の皮肉めいた言葉を聞き続けていた分、余計にアドルフの言葉は心にしみたのかもしれない。

「やめてくれ、本当に惚れそうだ」
「惚れたらええやんか…」

子供っぽく口をとがらせるアドルフに俺は笑顔を返す。
軽いジョークに、少し元気をもらった気がした。



訓練開始地点から体感2キロ。
俺とアドルフのやり取りを無視して最前線を走る暁が急に足を止めた。
そういえば出口へつながる道は、ロック・ベアが塞いでいたんだったか……。
俺は暁の歩調に合わせるように足を止めると、暁からたっぷり5メートルは距離をとり息を整えた。

…集中して炎の形をイメージする。

炎を苦手とする件の原生生物には、おそらくとてもよく効くであろうフォイエの力。
だが、訓練プログラム特有の負荷が、容易にテクニックを使わせてはくれない。
全神経を集中させなければ。

周囲の空気の温度が変わる。
ゆっくりと炎が形成され始めた頃、丁度それに呼応するように、大型原生生物ロック・ベアが俺達の前に姿を現した。

「わかっちゃいるだろうが、このくらいのお遊戯にいちいち手間取らせるなよ?」

特殊な器具を装着した右腕でライフルを支えると、暁は左腕で引き金に手を懸けながら
その照準を彼の生物の頭上へと合わせた。
……バーチャルと言えど、本来動かなくなった右腕で、
細やかな力加減を要求されるような近接武器で戦うのは、まだ少し難しいらしい。

「わかってる…!」

二度、同じ失敗はしない。
俺は形成された炎の塊……フォイエのテクニックを、暁の攻撃に重ねるようにロック・ベアの頭上へと放った。
ジロリとロック・ベアの敵意が俺に向く。
一撃が重いせいだろう…彼の原生生物は、俺を標的に選んだらしい。

…相変わらず強烈なプレッシャーだ。

まだ訓練開始直後だというのに、油断すれば足が震えて逃げ出したくなってしまう。
もう一度息を整えて、俺は大気のフォトンを炎の形へ成型する。
距離はまだ十分。
集中すれば、あと一発は撃てるだろう。

震えそうな足を必死に地面に縫い付けて、フォイエを放つ。
見事にヒットしたそれは、ロック・ベアの頭上をチリチリと燃やしたが、致命傷にはいたらなかった。
距離はあと2メートル。
原生生物の射程距離。
俺は一気に後方へと飛びのいて―――…代わりに赤い影が、俺の前に躍り出た。

「悪いな、おいしいトコもらうで?」

ガンッ
という強烈な打撃音。

赤い影―――…アドルフが放った大剣は、見事ロック・ベアの頭上を叩きつけるように切り裂いた。
あっけない。
悲鳴を上げることなく霧散していくロック・ベアを前に、アドルフは余裕のVサインを出して笑った。

「こいつは意外だ、思ってた以上に使える奴だったとは」

暁はそう言ってライフルを背中に戻すと、ちらりと俺を見た。

「少なくとも、ここでクマさんの強烈な一撃をもらうような奴じゃなくて安心したよ」
「いやいや、流石にロック・ベアで伸びてまう奴はアークスにおらへんやろ…」
「……だとよ、コウ。何か反論は?」

俺への当てつけか!
…言葉が出ない。
悪気のないアドルフの同意が余計に俺を孤立させた。

「まさかコウくん、喰らってもうたん?」
「アークスなのにな」

ついにくん付けになってしまった…。
空気の流れを察したのか、アドルフが少し心配そうに俺を見た。
出来ればこの話はもうやめてもらいたいのだが……暁の追撃が話題の変更を許さない。

まぁ、正確に言えば、喰らいそうになった一撃を暁に庇わせてしまったわけで。
暁にしてみれば、ぜひとも追及しておきたい案件なのだろうが。

「怪我なかったならええけど……ここから先、コウくんは俺の後ろにおり。守ったるから」
「ぶっ…よかったな、ついにナイトの登場だぞ、プリンセス」
「やめろ、これ以上惨めにさせてくれるな」

いつか暁が俺をからかった言葉が現実味をおびはじめ、俺は一気に息を吐いた。
守ってもらうプリンセスになりたくて、俺はこの訓練を受けたわけじゃない。
とんでもない侮辱だと思いながらも、反論できないのが悔しかった。

「さて、次に進むか。お手をどうぞ、プリンセス」

暁が俺の前に右手を差し出した。
どこまで馬鹿にする気だ、この男は。
俺が言われて腹を立てるとわかっているであろう言葉を的確に選んでくるあたり、やはり性質が悪い。

ギギッと音を立てて軋んだ彼の手に当たるわけにもいかず、
俺は精いっぱいの恨みを込めて睨み返した。
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ガンナーに憧れつつ、
主にテクターやってます。
サブFoからSuに転向しました。
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他クラスLV.75!

マトイちゃんとリリーパをこよなく愛す、
ファッションショーとSS撮影が
メインと化しているエンジョイ勢。

最低限迷惑にならない程度のプレイを
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