スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

小説:幕間「再びかの地へ」

チャレンジクエストを題材にした二次創作小説第二弾。
この小説はちょっと書きためてあるので、とりあえず1話までは連続で公開してしまおうかな、
と思い、一気に更新。

その後は、気まぐれで少しずつ更新していきます。


↓↓ 折り畳み記事で小説本編へ


その約束が繋ぐ先
幕間:再びかの地へ


外見なんざ似ても似つかないが、コウはその魂が、俺がかつて惚れた女によく似ている。
だから俺は、コウの事が少し苦手だった。
この男に頼まれると、どうにも断り切れない。
どんなに汚い言葉で突き放しても、彼は俺のすべてを受け止めてしまう。
そして結局は俺に、彼の望みを受け入れさせるんだ。
やりにくい。
…勿論、コウが惚れた女とよく似てるからといって、惚れたりすることはなかったが。


仮にもしも、そんなに簡単に恋をしてしまえるのだとしたら、
それは俺が惚れた彼女に対しても、コウに対しても、最大の侮辱だろう。
変わりがあれば満足できるなどと、そんな安い思いで、彼女に惚れたわけではない。
別に同性愛を否定する気は毛頭ないにしても、それとこれとは話が別だ。
俺が愛をささげるのは、生涯あの女だけだろう。

…だが、それでも。
コウに彼女の影を重ね、思いにふけることなどないにしても。
多分俺は、こういうタイプの人間が、根っこの方で好きなのだろう。

俺とは全く違う世界を生きてきて、平和で優しい、太陽のにおいがする人間。
真逆の世界しかしらない俺にとって、それは多分、とても居心地のいい場所なんだ。


だからコウが、再びチャレンジに行きたいと……俺に生きていて欲しいと望んだ時、
一瞬胸が潰れそうな程苦しくなった。

俺の周囲の多くは、俺の死を望んでいるに違いない。
だから俺は、そんな奴らを笑い飛ばしてやるために、可能な限り生きてやろうと思っていたが、
反面、真っすぐ自分の生を望んでくれる存在には、どうしていいのかわからなかった。

日毎失う右腕からの感覚に、俺の生はあと何日だろうと考えながら、
悔いのない生き方を模索しようとしていたのだが、この男に惜しまれると、
どうにも死ぬのが嫌になる。

だからといって、助かる保証がされているわけでもないのに、
最近おかしなチャレンジにこの男を連れて行き、
むざむざ死なせでもしたら、俺は残り短い人生を、後悔だけでは済まされないだろう。

以前はたまたま運がよかっただけだ。
それでも、あと1秒遅れれば、訓練踏破は失敗していたに違いない。
次も上手くいく保証など、どこにもなかった。


嗚呼、そこまでわかっていたのに―――…


「有難う、一緒にきてくれて」

困ったように笑うコウの望みを、結局俺はきいてしまった。
我ながらコイツには本当に弱いなと思う。
チャレンジ訓練開始の登録手続きを済ませながら、ため息が漏れた。

「でも…よかったのか…ついてきてくれて。暁は嫌だったんだろう? それに危険だし……」

笑顔の中に困ったような表情が混じるのはそれか。
今更何を言ってやがる…相変わらずのエゴイストぶりに吐き気がした。
心配するくらいなら最初から俺に話を持ち掛けてくるなと内心思う。
どうせ放っておいても消えるのは自分の命じゃないだろうが。

大体、今ここで「じゃぁやめます」と俺が言ったらどうするつもりなのだろう?
全く何も考えていない馬鹿野郎だ。

あれだけ過酷な訓練を経てなお、随分と頭の中はお花畑らしい。
自分ひとりでは何もできないくせに、心配だけは一人前。
コイツが惚れた女に似てなきゃ、今頃殴り倒している。

「前回誰のおかげで踏破できたと思ってる」
「君だな」
「お前一人で行って踏破できるとでも?」
「……無理だろうな」

最悪のお答えありがとう。
最初から俺に頼る気でいたなら、それなりの態度でいろ。
強引に俺を連れ出しておいて、心配できる立場かお前は。

ピリリと右肩が僅かにしびれる。
クソ…こんな状態で、目の前のへっぽこ野郎を再び守り切れるだろうか?
研ぎ澄まされていく神経に、感覚の伴わない腕が邪魔をする。
気持ちが張りつめだしたところで、俺の隣にいたコウが、小さく何かを呟いた。


***


「目的は踏破じゃないからな……」

思わずぼそりと呟いてしまった言葉に、暁は気が付いていないようだった。
聞こえていたら、どういう意味だと問い詰められただろう。
聞こえなくてよかったのかもしれない。

再び足を踏み入れることになった、過酷なチャレンジ訓練―――…
実のところ、今回俺は、踏破できなくても構わないと思っていた。


チャレンジは、そのあまりのリアルさから脳へのダメージが大きく、
虚構で出来た空間での怪我や死は、リアルの身体に反映される。
そのほかにも、制限時間以内に最後のミッションを完遂できなければ、
重いペナルティーが科せられた。
結果、本部の調整ミスなのか……二度と現実世界へ戻れる事はないという。

踏破失敗はすなわち死だ。
けれども、それはすべて真正面から訓練を受ければこその話。
俺は今回、最初から訓練を真面目に受ける気など毛頭なかった。

目的は暁の神経に関するデータの収集。
つまりチャレンジという訓練システムに対する干渉だ。


暁の右腕はどうにもおかしい。
以前、チャレンジにおいて、暁は自分の右腕を吹き飛ばしてしまっていた。
それゆえ、「利き腕を失くした」という脳の認識から、現実の腕も使い物にならなくなってしまったわけだが、
本来それなら、彼の右腕は徐々に壊死していくだろう。

だが今も、彼の腕は温かい血が巡り、感覚がないまま、ピクリとも動くことなく存在している。
そんな事は有り得るのだろうか?
それに、徐々に彼の感覚を奪っていく神経の浸食も気がかりだ。

いや、もっといえば……そもそも、踏破失敗のペナルティーからして変な話だろう。

これはアークスという組織が考案した「訓練」でしかない。
訓練のさなか、脳への影響が著しく、想定していた以上のダメージから死傷者が出てしまったという
失態までは理解できても、もとより踏破失敗でペナルティーを科す理由がない。

失敗した時点で、訓練は終了する。
ならば大切な戦力を傷つける必要などないはずだった。
怪我を負っても進めるかどうかを試される訓練は、もう終わっているのだから……。

だがこの訓練には、最初からそのペナルティーが用意されていた。
以前の俺は、そんな事に気を留めていられないほど必死になっていたから気づかなかったが、
冷静になると何かがおかしい。


……この訓練には裏がある。


そしておそらくは、その謎を解き明かした時、俺達は踏破の有無にかかわらず、
この現実世界へ帰ってくることが出来るのだろう。
その答えを出すためにも、俺にはどうしても当事者である暁と、再びチャレンジへ赴く必要があった。

最悪、土下座してでも彼を連れ出すつもりでいたのだが……
意外にも彼は、俺の頼みを心底嫌そうな顔こそすれど、あっさり聞き入れてくれたらしい。

口は悪くとも、彼は優しい男だ。
おそらく俺を心配してのことなのだろう。
到底万全とはいえないその身体で、きっと守ってくれようとしているに違いない。


……でも、今回君の未来を守るのは、俺の方だ。


俺はゆっくりと息を吐いて、オレンジ色のネオン輝く訓練施設へ視線を向けた。
スポンサーサイト

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

カテゴリ
過去のお勧め記事
プロフィール


名前 :コウ
人種 :ヒューマン/男性
メイン:Te/Su
Ship :10(現在8に旅行中)

チーム10:Rosen Kreuz(マネ)
チーム8:Re:Monster(コモン)

ガンナーに憧れつつ、
主にテクターやってます。
サブFoからSuに転向しました。
メインとサブクラスLV.80!
他クラスLV.75!

マトイちゃんとリリーパをこよなく愛す、
ファッションショーとSS撮影が
メインと化しているエンジョイ勢。

最低限迷惑にならない程度のプレイを
心がけつつ、楽しんでます。

+・+・+・+・+・+・+・+・+・


『PSO2サポーターズリンク』登録中!


[c]SEGA

いつも投票ありがとうございます!
よかったら1日1回投票よろしくね!

カレンダー
10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -
最新記事
リンクについて
当ブログはリンクフリーです。
事前事後の報告は不要です。

相互リンク希望の方は
お気軽にコメントにてご連絡ください。

タイトル⇒ 初心者あんしん!PSO2
URL ⇒ http://kourk.blog.fc2.com/
管理者 ⇒ コウ

※ バナーは持ち帰りでお願いします


リンク
検索フォーム
最新コメント
月別アーカイブ
RSSリンクの表示
QRコード
QR
アクセスカウンター

現在の閲覧:

2016/09/19設置。
今更感ある…。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。